2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になるといわれている。今は元気な家族も自分も、近い将来認知症になるかもしれない......。
そんな"もしも"の場合に「どうしよう」「わからない」と焦らずにすむ! 大切な人との新しい付き合い方がわかる!
医学博士・河野和彦さん監修の本書『家族が認知症かも?と思ったときのファーストブック』(株式会社KADOKAWA)は、認知症にまつわるさまざまな疑問について「正しい知識と回答」をギュッと詰め込んだ一冊。
「何事についてもいえますが、もっとも忌避するべきは『無知なまま』でいることです」
はじめに、数年後には「65歳以上の5人に1人が認知症」「日本人全体の約6%が認知症」という「未曾有の危機が到来する」とある。
なぜ「未曾有の危機」なのか。それは、現在の医療レベル・医療体制では、この状況に十分対応できるとはいえないからだという。
「『誰がどのように介護するのか』という難題が立ちはだかっている。そんなシリアスな状況が、もう目の前まできているのです」
しかし、備えあれば憂いなし! 本書は全61項目、基本から一連の手続きまでじっくり解説。「ファーストブック」と聞いてイメージする以上に、充実の内容だ。
「いささか難解な部分もあるかもしれませんが、認知症については『医師と張り合えるほどの知識量があっていい』との考えから、あえて掲載しています」
■目次
第1部 家族が認知症になったときの向き合い方
(認知症についての基礎知識/最強の認知症予防法 それは糖質制限 ほか)
第2部 家族に介護が必要になったときの手続き
(介護は行政やプロに頼ろう/介護保険とはなにか ほか)
第3部 認知症になったときのための相続
(認知症にまつわる名義変更について/相続対策の重要性 ほか)
第4部 家族が亡くなったときの手続き
(身近な人が亡くなってしまったら/死亡届と火葬許可申請書 ほか)
まず、「老化によるもの忘れと認知症の大きな違い」を押さえておこう。
老化によるもの忘れを認知症と勘違いすることは「認知症あるある」という。ただ、この2つは似ているようで実際はまったくの別モノ。誤解して心配しすぎないように注意したい。
【加齢によるもの忘れ】記憶自体は失われていない
もの忘れを自覚している/体験したことの一部を忘れる/ヒントがあれば思い出す/日常生活に支障はない/判断力は低下しない
【認知症によるもの忘れ】記憶をしていない(失っている)
もの忘れをしているという自覚がない/体験したこと自体を忘れる/ヒントがあっても思い出せない/日常生活に支障がある/判断力は低下する
つまり「最近もの忘れが多い、認知症かも?」という自覚があるなら、さほど心配ないそうだ。
では、その自覚がないとき、どうするか。「認知症かどうかを家庭で調べるには」が参考になる。
認知症は早期発見がとても大切。かといって、家族の言動や様子から認知症・軽度認知症が疑われるとしても、焦りは禁物! 実際、フライング気味に受診して、認知症・軽度認知症ではないと鑑別される人が多いという。
まずはチェックリストやテストを試すことをすすめている。ただ、強引に受けさせると、本人のプライドを傷つけてしまうことも。
「プライドを傷つけないよう配慮するのは、認知症患者さんとの上手な接し方や介護にも共通する、重要なポイントです」
そこで紹介しているのが、「この1週間、どんなことがありましたか?」という質問。これなら日常会話で自然と尋ねることができ、プライドを傷つけず、テストをしている感じも伝わらない。
この質問に対する正答率は、健常者が99%以上。軽度認知障害の場合は36%、認知症の場合は2%にまで下がるという。そのときは「速やかに、認知症専門医を受診すべき」としている。
いざ自分の身に降りかかるまでは、どこか他人事に感じてしまうものだが......。認知症はもちろん何事も、「○○かも?と思ったとき」から備えておくことがいかに大事か、本書を読むとよくわかる。
■河野和彦さんプロフィール
1958年愛知県生まれ。名古屋フォレストクリニック院長。近畿大学医学部卒業。医学博士。91年名古屋大学医学部附属病院で初の認知症外来を開設。以後7箇所の医療施設で認知症外来を開設。ブログで認知症薬物療法マニュアル「コウノメソッド」を公開し、全国から患者が来院するようになる。2007年からコウノメソッドに賛同する全国の医師を実践医登録し、インターネットで公開。地元で的確な処方を受けられる体制を整え、コウノメソッドは処方の難しいピック病、レビー小体型認知症にも大きな成果を挙げているという。
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