もし、わが子がひきこもりになってしまったら――。本書は、ひきこもり当事者とその家族を支え続けた松田武己(たけみ)さんが、約25年にわたって書き留めたリアルな「ひきこもり語録」だ。
著者の松田さんは現在、不登校情報センター代表をしている。
教員向けの月刊誌編集者を10年ほど経験したのち、1995年に「不登校情報センター」を設立した。その後は、不登校やひきこもりに悩む人の相談を受けながら、教育関係のフリーの編集者として教育関係の書籍に携わっている。過去には『引きこもりと暮らす』(東京学参)、『不登校・引きこもり・ニート関連団体リスト』(不登校情報センター編、子どもの未来社)、『ひきこもり 当事者と家族の出口』(子どもの未来社)、『不登校・中退をスタートラインにするスクールガイド』(不登校情報センター編、子ども未来社)などの著書がある、不登校・ひきこもり対応のスペシャリストだ。
本書には、ひきこもりに苦悩する家族に向け、当事者の心の内を知るヒントが書かれている。年齢も性別も背景も違う彼らが日々何を感じ、どのように自分自身を捉えているのか。当事者が発したリアルなことばと行動を550語以上も収載している。
「国語辞典」というだけあって、五十音順に語釈が書かれている。たとえば、あ行には、「哀」「アイコンタクト」「挨拶」「アウェイ感」といった単語が並ぶ。
な行の「なにもない(何もない)」の語釈はこうだ。
本当に何もありません。三〇歳を超えているのに学歴がない、才能がない、お金がない、資格がない、仕事がない、友達いない、彼女いない、家族がない、実家に帰れない、眠れない、頼りない、おもしろくない、どうしようもない。あるのは寿命だけです。
また、お笑い芸人「髭男爵」の山田ルイ53世さんがひきこもりの先輩として帯にコメントをしている。
中2の夏から不登校。そのまま6年間ひきこもって、なんだかんだで貴族となる。
苦手な質問や、相手は激励のつもりでもかえって負担になる声掛けなど、当事者自身の言葉で書かれた五七五や4コママンガも必見だ。
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