ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの最新長編『クララとお日さま』が話題になっている。刊行前から注文が殺到する注目作だ。
2021年3月2日に発売された『クララとお日さま』(早川書房)は、発売前に3度も重版が決定しており、累計発行部数が65000部となった。テレビ・新聞・ネットなど各メディアで著者露出が予定されており、さらなる重版が検討されているという。
話題作でありながら、内容がヴェールに包まれてきた本書。カズオ・イシグロさんが物語のさわりを紹介するコメントを寄せている。
「この本の語り手クララは人間の形をしたAI搭載の機械です。10代の若者が大人になる手助けのために開発されたAF(Artificial Friends)、つまり「人工親友」です。物語の冒頭、クララは他のAFたちと店先に並び、買った人が外の世界へ連れ出してくれるのを楽しみにしています。その間、ウィンドー越しに街の様子を観察して、人間の世界をわかろうと努めます。そして孤独な人間たちに興味を持ち始めます。なぜなら人間の世界に入ったクララの大切な仕事は、「人の孤独」を癒すことなのです。これまでの私の作品をお読みになったかどうかわかりませんが、新作は『わたしを離さないで』と『日の名残り』の流れをくむものです。皆さんにお読みいただけるとうれしいです」
さらに、いち早く読んだ、映画監督の是枝裕和さんもコメントを寄せている。
「イシグロ。AIロボット。少女。境界を越えた心の交流。読まずにいられるわけがない」
圧倒的な注目度の新作。これを機にカズオ・イシグロ作品をこれから読んでみるのも良さそうだ。
カズオ・イシグロさんプロフィール1954年11月8日長崎生まれ。5歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡り、以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景に育つ。その後英国籍を取得。ケント大学で英文学を、イーストアングリア大学大学院で創作を学ぶ。
1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞をそれぞれ受賞。1989年発表の第三長篇である『日の名残り』では、イギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝いた。ほか長篇に『充たされざる者』(1995)、『わたしたちが孤児だったころ』(2000)、『わたしを離さないで』(2005)、『忘れられた巨人』(2015)、短篇集に『夜想曲集』(2009)がある。
2017年ノーベル文学賞を受賞。2018年には日本の旭日重光章を受章し、2019年には英王室よりナイトの爵位を授与された。
現在は、黒澤明監督の映画『生きる』の英語版リメイクの脚本に携わっている。
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