松井玲奈さんはSKE48、乃木坂46の元メンバー。NHK朝ドラに出演するなど、グループ卒業後にさらに飛躍した一人。元アイドル、女優、ナレーター、さらにもう一つ、作家としての顔も併せ持つ。
2019年に刊行された松井さんのデビュー作『カモフラージュ』を超える衝撃として、第2作『累々』(ともに集英社)が1月26日に発売される。
デビュー作も話題を呼んだが、本書は全国の書店員から絶賛の感想と注文が殺到し、発売前に重版が決定したという。
「もう誰かのための自分にはなりたくない」
「結婚、セフレ、パパ活、トラウマ......。すべて、柔らかな嘘」
本書は、不穏さで繋がる5つの物語からなる連作短編集。「人間の多面性を切り取る」「企みに満ちた」恋愛小説集となっている。5編のあらすじはこうだ(集英社公式サイトより)。
1 小夜
「小夜と今年中に籍を入れたいと思う」。夕食の最中に告げられた、30歳の彼からの味気ないプロポーズ。23歳という自分の年齢が結婚に適しているのかどうか、小夜にはわからなかった。
2 パンちゃん
獣医の石川は、去勢手術をするたびに自分のモノが切られる夢を見る。そんなある日、友達以上恋人未満の女性とラブホテルへ行くことになり――。
3 ユイ
恋愛シミュレーションゲームをプレイするがごとくパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野は、これまで出会った誰とも違う、ある女子大生と出会う。
4 ちぃ
美大生の彼女が、才能と人柄にのめり込んだハジメ先輩。すべてを賭けて好きになったその恋の末路は――。
5 小夜
誰もがうらやむ幸福な結婚式の、秘密。
現在、WEBサイト「集英社文芸ステーション」では「1 小夜」をまるごと試し読みすることができる。早速読んでみた。
傍から見れば、幸せの絶頂でしかない彼氏・葉からのプロポーズ。しかし、23歳の小夜は素直に喜べずにいた。
「今の私は葉さんが差し出す手をとることができず、心が立ち止まったままになっている。自分がどこに向かって歩いていきたいのかさえわからない」
「マリッジブルー」などと簡単な言葉では片づけることができないほど、結婚に対する違和感は膨らんでいく。
「枠に囚われたくないからこそ自分が外からの影響で自分ではない人になっていくことが想像できないのだ。誰かの望む人になれたとしてもそれは偽りでしかない」
「累々」は、積み重なっている、折り重なっている、連なり続く様子を表している。同じ自分でも、時によっていろいろな顔が出たりするもの。本書は、そんな人間の多面性に光を当て、少しの感情の揺れも見逃さない。
■松井玲奈さんプロフィール
1991年生まれ。愛知県豊橋市出身。著書に、恋愛からホラーまでの短編集『カモフラージュ』(集英社)がある。
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