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レシピ本には載っていない料理以前の常識128

ゆで卵の殻をツルッとむく方法

 巣ごもり生活で料理を作る機会が増え、料理やレシピの本を手にする人も多いだろう。関連本の出版も増えているような気がする。本書『ゆで卵の殻をツルッとむく方法』(青春新書プレイブックス)は、レシピ本には載っていない料理以前の常識を集めた本だ。

 もちろんタイトルの「ゆで卵の殻をツルッとむく方法」も載っているが、「失敗する前に知っておきたい」「調理の前に知っておきたい」「包丁を使う前に知っておきたい」「焼く・炒める・揚げる前に知っておきたい」「煮る・ゆでる前に知っておきたい」「仕上げる前に知っておきたい」「食べる前に知っておきたい」「目利きの前に知っておきたい」「保存の前にしっておきたい」の各章で128項目を取り上げている。

新しい炊飯器なら米の浸水は必要なし

 よく料理をする人なら常識かもしれないが、「へぇー」と思う項目も少なくない。評者がまず驚いたのは「炊飯器なら米の浸水は必要なし」ということだった。

 評者は夏ならば30分ほど、水が冷たい冬は1時間ほど米を浸水してから、炊飯器のスイッチを押していたが、今の新しいタイプの炊飯器は浸水から蒸らしまですべての工程をプログラミングしているから、浸水は必要ないと書いている。

 半信半疑、浸水なしでスイッチを押してみた。炊きあがりはいつもと変わらなかった。毎日、不要な時間を費やしていたことになる。浸水が面倒でご飯を炊かずに食事を済ましたこともある。レトルトのご飯を買ったこともある。常識が常識でなくなることがあることを知った。

 このほか、ご飯関連では、「新米を少なめの水で炊くとまずい!」(新米も古米も水分含有量は変わらない)、「炊き込みご飯は具を混ぜないで炊く」(混ぜてから炊くとムラが出る)、「すし飯は混ぜながらあおいではいけない」(温度が下がり過ぎて、酢が染み込みにくくなる)などと書いている。

スイカはまず縦ではなく横に切る

 「なるほど」と思った項目をランダムに挙げてみよう。

 ・ムニエルをバターで焼くのは間違い(サラダ油と併用しないと焦げてしまう!)
 ・アサリはたっぷりの塩水につけると死ぬ!(ひたひたの塩水でないと、酸欠になってしまう)
 ・アサリは塩を抜かないと料理が辛くなる(砂抜き後、ザルにあげてしばらくおく)
 ・要注意!料理と米の1カップは違う(料理用は200ml、米用は180ml)
 ・タマネギは冷やしてから切る(涙のもとの刺激成分が揮発しにくくなる)
 ・レモンはくし形に切らない(X状に切ると果汁がたっぷりしぼれる)
 ・スイカはまず縦ではなく横に切る(種に沿って切れば種を取りやすい)
 ・ショウガの皮を厚くむくのは損(アルミホイルで表面だけ薄くむく)
 ・冷凍肉は凍ったままで焼く(完全に解凍させるとドリップが出てしまう)
 ・チャーハンはまず空焚きを(高温で加熱しないとパラパラにならない)

ゆで卵は食品保存容器に入れて振ればむきやすくなる

 さて、タイトルのゆで卵だが、まずはゆでるところから始まる。

 ・ゆで卵は水からゆでない 沸騰した熱湯に直接入れた方がいい。半熟なら6分、固ゆでなら11分。すぐに水にあげて氷水で冷やす
 ・ゆで卵は転がしながらゆでる 転がさないと黄身が片寄ってしまう
 ・卵はゆではじめに少しヒビを入れる 包丁の柄で軽く打ち付けると殻の中に水が入りこんでつるんとむける
 ・ゆで卵は殻をむきやすくするひと手間を 食品保存容器に入れて振ればぐっとむきやすくなる

 ゆで卵ひとつ作るにも、さまざまな知恵があるようだ。

 野菜の保存方法も実に参考になる。オクラを変色させてしまったばかりの評者は目からウロコの保存法を教えてもらった。コップに立てて入れ、ヘタに水が1センチほどつかるようにするといいそうだ。野菜が高騰している折、大事に使いたいものだ。

  


 


  • 書名 ゆで卵の殻をツルッとむく方法
  • 監修・編集・著者名ホームライフ取材班 編
  • 出版社名青春出版社
  • 出版年月日2020年8月25日
  • 定価本体1000円+税
  • 判型・ページ数新書判・190ページ
  • ISBN9784413211680
 

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