新型コロナの影響で副業をはじめる人が増えているようだ。在宅勤務による時間のゆとり、残業代カットや勤務先の休業による収入減などの背景があるという。
「ひとり起業塾」主宰の滝岡幸子さんによる本書『女子の副業』(青春出版社)は「働き方改革」「人生100年時代」「ウイルスとの格闘」などの現状を踏まえて、副業に関心を持つ女性に向けて書かれた副業ガイドブック。
「『いまの仕事を辞めずに、やりたいことの実現も、お金を稼ぐことも両立させたい』というのは、大胆な発想のようですが、自分の好きなことを副業にして収入を得ている女性は案外多くいます』
「将来の生活費に不安がある」「仕事でスキルを発揮できていない気がする」「興味があったが、あきらめた仕事がある」「スキマ時間、あいている時間を活かしたい」「職場に不満を感じている」「転職せずに、新しい仕事にチャレンジしたい」「いつまでもワクワクしながら暮らしたい」......などの項目のうち「ひとつでも当てはまるものがあった人は、ぜひ本書に目を通してみてください」としている。
著者の滝岡幸子さんは、中小企業診断士・経営コンサルタント。ポテンシャル経営研究所代表。外資系コンサルティング会社・プライスウォーターハウスコンサルタント(現・IBM)で企業の戦略立案、業務改善に従事。2002年(有)ポテンシャルを設立。中小企業のコンサルティング、企業研修、講演・ワークショップ・セミナー、執筆などを行う。
滝岡さんはこれまで多くの起業家を取材してきて、最近特に「副業や起業を行う物理的・心理的ハードルが年々低くなっている」と感じるという。スマホやパソコンがあれば、すぐにいろいろはじめることができる。ひと昔前と比べたら、「副業」「自営業」への参入ハードルは格段に低くなっているというのだ。
これからはメールを書かなくてもすぐにやりとりできてしまうSNS、同時双方向でミーティングができるアプリが進展し、超高速インターネット環境の5Gも普及していく。「個人」が勝負しやすくなり、副業が今よりもっとスタートしやすくなる時代がやってくる、と滝岡さんは見ている。
副業を後押しする流れとして、大企業が副業ワーカーの雇用を推進し出したことを挙げている。たとえば、Yahoo! JAPANはインターネットの未来を一緒に作っていく副業ワーカー(「ギグパートナー」)を募集している。地方自治体や地方企業でも、副業ワーカーを求める事例が増えている。このように、得意なことを活かして大手企業や地方企業と週1、2日程度副業ワーカーとして関わったり、好きなことややりたいことを副業で少しずつ仕事にしていったりする動きは、今後活発化していくに違いないという。
滝岡さんは26歳で独立、起業した。以来「何種類かの名刺を持つ生活」、いわゆる「パラレルワーク(複業)」をしている。最初から計画していたわけではなく、さまざまな仕事にチャレンジしていくうちにこのスタイルになり、それぞれが相乗効果を生んでいるという。このように「いくつかの顔(名刺)を持つこと」は女性に向いている、としている。
往々にして女性は仕事だけに没頭するわけにはいかず、家事、育児、介護など複数の役割が求められる。滝岡さんはあまり器用ではなく、あれこれ上手にできるタイプではないという。子供が生まれた当初は時間の使い方に悩んだ。しかし、「スキマ時間」を活用することでうまく回るようになったという。もともと女性はいくつかのことを並行で行う「マルチタスクが得意」であり、「スキマ時間」を意識的に使うことで副業がしやすくなるというのだ。
「女性の場合、結婚、出産・育児、介護などのライフイベントが仕事に与える影響は大きく、さらに、婦人病・更年期障害といったホルモンバランスに左右される部分もあります。その点、働き方の自由度が高まり、人生の選択肢が増えたことは、より女性にとって喜ばしいことではないでしょうか」
本書は「Part1 副業は、いくつになってもはじめられる!」「Part2 あなたに合う副業を見つける方法」「Part3 『女子の副業』に向く仕事のリスト」「Part4 副業の基本ノウハウと、楽しく続けるコツ」の構成。自らの起業、複業、取材経験をもとに、最新動向をまじえてやさしく解説している。
副業に興味はあっても、そもそも自分に何ができる? 何が向いている? どんな仕事がある? と、スタート地点で立ち止まってしまう人は多いだろう。まず、副業には「3つの型」があるという。
■本業と同じ仕事で副業を行う「本業の延長」型
■本業に近い分野でスキルを活用する「本業とシナジー」型
■本業とは異なる業種で副業を行う「本業とは別の顔」型
そして、「女子の副業」に向く仕事を5つの特徴に分類して紹介している。
■自宅でできる副業
子育て中の人、ひとりでコツコツ、ひっそり副業に勤しみたい人向け。(ものづくり、パソコンで創作、コンサルタント・コーチ・カウンセラー、研究家、サロン運営、教室)
■お金をかけずにできる副業
これまでに培ってきたことをネットの無料サービスを使って売る。(LINE、パソコン、パソコンと携帯電話、ブログ、Instagram、オンラインサロン)
■すぐにできる副業
すでにある仕組みに乗っかることがポイント。(すでに売上のある会社から仕事をもらう、クラウドソーシングサイトなどに登録する)
■こま切れ時間を活用する副業
一連の作業の一部分の制作など。(ものづくり・連続アート系、ライター・マンガ家、ネットショップ運営、WEB制作、ブロガー・インスタグラマー)
■週末だけする副業
このタイプの副業で長く続けている人が多い。(他社のプロジェクトに参加する、スクールの先生を担当する、教室を運営する、イベントに出展する)
Part3では「副業に向くお仕事リスト」を掲載し、それぞれの仕事について「収入を得る方法」「開業に必要な資金・モノ」「収入の例」「注意点、ポイント」などを具体的に紹介している。
「好きなことや気になることは全部、長い人生の中で少しずつ、やってみてもいいのです。そして、合わないと気づいたらやめてもいい。そうした自由さこそが、副業の醍醐味ではないでしょうか」
在宅勤務の推進、単身赴任の解消、地方への本社移転など、働き方は今まさに目まぐるしく変わりつつある。著者が予測するように、夢もお金もあきらめない「副業」という選択が当たり前になる日も近いかもしれない。
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