肌を見れば、その人がどんな生活を送り、普段どんなケアをしていて、どんな性格なのかがわかります――。これは、長年トータルビューティアドバイザーとして多くの女性の肌に触れてきた水井真理子さんの特技だという。
本書『水井真理子の寄り添い美容――どんな時も誰でも、一生きれいが手に入る決定版』(集英社インターナショナル 発行、集英社 発売)は、誰でもすぐできる「肌・心・体をケアするためのコツ」をまとめたもの。完成まで2年の歳月をかけた、水井さんの集大成となる一冊。
ひとりひとり違う「肌」・違う「きれいの種」・違う「悩み」を持っている、と水井さんは考えている。「叶うものならば、ひとりひとりに会ってパーソナルカウンセリングをして、悩みから解放するお手伝いをしたい」が、現実にはなかなか難しい。
「そこで、私の分身のようにそれぞれの肌や悩みに寄り添って語りかける、一生ものの心強いサポーターになる"スキンケアの知恵袋"のような本をつくりたいと思い立ちました」
水井さんは1972年生まれ。幅広い年代の雑誌の美容ページやWEBを中心に活躍。パーソナルな診断を得意とし、ひとりひとりの心に寄り添うように、健やかに美しく生きるためのスキンケア法やコスメとの付き合い方をレクチャー。また、エステやアロマ、東洋医学などを学んだ経験から、肌だけでなく体の内側や精神など、トータル面からアプローチする美容を重視し、食や運動、ライフスタイル、心の在り方まで、美容情報を幅広く発信している。
本書は「Chapter1 一生きれいが手に入る寄り添い美容17のアドバイス」「Chapter2 水井真理子の美と健康あふれる生活をのぞき見」の構成。17のアドバイスは、スキンケアと心の在り方を軸にしつつ、手、冷え、食、ダイエット、目元、髪などが並ぶ。写真・イラストが豊富で、美容テクニックやおすすめ商品の解説の分量が多い。ページ数は少なめだが、じっくり読み込むこととなり、情報を大量に得ることができた。
「誰も言わなかった"気づき"の数々。全くありきたりではない美容提案......」という、美容ジャーナリスト・齋藤薫さんの帯コメントに同感した。BOOKウォッチでも数々の美容関連本を紹介しているが、本書は美容テクニックを伝授するとともに、内面にまで踏み込んでアドバイスしている点で「ありきたりではない」のだろう。一般的な美容本と思って読み始めたところ、思わず自分の内面に光を当てられることとなり、内と外、両方のケアが大事だとわかった。
ここでは、内と外のケアをそれぞれ少しずつ紹介しよう。まず「心のクセを変えて、きれい引き寄せ」から。「きれい」への距離を近づける準備運動として、6つの「ちょっとしたマインドチェンジ」を挙げている。
■鏡を見る
欠点を探すのではなく、ただシンプルに鏡に映る自分の姿を見る。自分の姿に好奇心を持ちましょう。
■あふれんばかりの褒め言葉を持つ
「今日、いい感じ」と"自分褒め挨拶"を習慣に。
■小さな幸せで五感を満たす
五感に訴えかける小さな幸せをたくさん用意しましょう。
■いつだって自分応援団になる
どこに行くにも何をするにも、7人ぐらいの自分専属応援団を引き連れているつもりで。
■Smile
笑顔は、目鼻立ちにかかわらず、その人のきれいを花咲かせるいちばんの早道。
■比べない
「自分だけのきれい」は、「これが私である」という現実に、目をつぶらずに向き合うことから始まります。
続いて「肌を変えたいならまず洗い方を見直す」から。大切なのは、いかに肌に負担をかけずに、ムラなく汚れを落とすか。以前は落としすぎ・洗いすぎの人が多かったが、最近は「やさしくしよう」と気をつけるあまりきちんと落とせていない人も増えているという。4つの「洗顔&クレンジングの心得」を挙げている。
■肌をマイナスにしない
摩擦、熱いお湯、水流は厳禁。やさしいタッチで、触れたときに少し冷たく感じるくらいのぬるま湯を手にためてすすぐ。
■鏡を見ながら指の"面"を使って洗う
洗い残し&洗いすぎを防ぐ。指の第三関節までを肌に密着させて洗うのがポイント。
■ゆらいだときは潔く洗わない
朝はぬるま湯洗顔、夜はクレンジングミルクで「守りつつ洗う」戦略に。
■ふっくらした洗い上がりを目指す
キュッとするのは、落としすぎ! クレンジングはミルクかクリームがおすすめ。
ひとりひとりに寄り添う美容を実践する水井さん。その原点には、自身の容姿に対するコンプレックスがあるようだ。「地黒、老け顔、肥満。きれいが遠かった私が、美容家になるまで」として、鏡に背を向けていた水井さんが自分だけの「きれい」を見つけるまでの軌跡をたどっている。
見た目を褒められることなく育ち、老け顔や地黒を気にして、人と比べてばかりいた10代。2ヵ月半で8キロ太り、肌荒れやニキビに悩んで美容に目覚めた20代。寝不足続きでも美容を頑張った30代。40代を目前に、円形脱毛症やホルモンバランスの乱れなどの不調に悩まされた。
こうした紆余曲折を経て、疲れた自分を追い込む「こうしなければ」というノルマ美容を見直すことに。「美容と一生つき合うためには、その時々の気持ちや暮らしに寄り添う美容こそ必要なんだと気づいたのです」――。そして47歳の現在、年齢を重ねることを恐れず、幸せそうで元気そうに見える「きれい」を楽しむ毎日を送っているという。
「『きれい』は誰の近くにもあるもの。学業、仕事、育児、介護など、ライフステージの中で波のように近づいたり遠のいたりはするけれど、いつも私たちのそばにあるもの」
きれいになれるものならなりたいという思いは、誰もがあるだろう。ただ、ひとりひとりのライフステージによって、気力と体力をどれだけ「きれい」に注ぐことができるかは違ってくる。「きれいの種は、その気になればいつからだって芽吹き、花を咲かせることができます」――。しばらく「きれい」から遠ざかっていた人も、自分の「きれいの種」探しを始めたくなるだろう。
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