先日「コロナで『売れた』『売れなくなった』商品TOP30」(東洋経済オンライン)という記事を読んだ。口紅、ほほべに、ファンデーション、おしろい、化粧下地、アイシャドウ、アイライン、マスカラなど、メイク関連の商品が軒並み「売れなくなった」にランクインしていた。
外出の機会は減り、外出してもマスクで顔の半分は隠れているのだから、たしかにメイクの必要性をあまり感じない。それでも、メイクをすれば気分は上がり、気持ちも引き締まる。ちょうど最近はナチュラルメイクが流行っていることもあり、完璧なメイクをするつもりはない。ポイントをおさえた、自分の素材を生かせるメイクのコツを知りたい......。
そんな人にピッタリなのが、ヘアメイクアップアーティスト・長井かおりさんの本書『美しくなる判断がどんな時もできる――こんなことでよかったの!? 96のメイクテクニック』(ダイヤモンド社)。ものすごい加齢、どのコスメか迷ったとき、急な吹き出もの、女子ウケしたい、号泣、温泉後、くぼんだ目など、本書はメイク、スキンケア、髪にまつわるあらゆる悩みに光を当て、「どんなトラブルもカバーできるプロの知識」を凝縮した一冊となっている。
著者の長井かおりさんは、化粧品メーカーの販売員としてキャリアをスタート。2005年、ヘアメイクアップアーティストへ転身。雑誌・広告・映像などの第一線で、モデルや女優のヘアメイクを手がけている。「その人の個性を生かすメイク」を得意とし、多くのウェディングヘアメイクの現場で培った技術から「崩れないメイク」に定評がある。
また、自ら出演してテクニックをレクチャーするメイク動画や、プチプラからハイブランドまで幅広くコスメを紹介することも支持されている。撮影現場でメイクをするかたわら、メイクレッスン講師として全国で活動。延べ3000人以上の女性に「一番キレイな自分になれるメイクメソッド」を伝えている。
本書は、ベストセラーとなった前著『〜周囲がざわつく自分になる〜必要なのはコスメではなくテクニック』(2016年、ダイヤモンド社)につづく第2弾。96のテクニックを、以下の6つのChapterで解説している。
Chapter1 テクニックさえあれば怖くない
Chapter2 目が中心によっている顔にする
Chapter3 長すぎる眉は古く見える
Chapter4 いつものコスメで乾燥しない肌をつくる
Chapter5 メイクができればスッピン風もパーティも自由自在
Chapter6 ぺったりした髪が一瞬でふんわりに戻るには指1本
著者の解説は理論的、かつわかりやすい。モデルの写真も多く、実践しやすい。メイク本というと、ものによっては中身が薄くなりそうだが、本書は地に足がついている感じがした。自己流でやっていたメイクの正解・不正解をチェックし、新たな知識を得ることができる。中身の濃いメイクの参考書、といったところだ。
さらに、テクニックごとに効果を発揮する著者おすすめの商品を3種類ずつ、写真付きで紹介している。本書は3年前の刊行のため、全商品が手に入るとは限らないが、十分参考になる。メイクアップアーティストとなれば高額な商品を愛用していそうなイメージがあったが、低価格かつドラッグストアで手に入る商品も多い。
ここでは、時間がなくて手抜きしたいときも「この3つを仕上げれば、美人になれる」という基本を押さえておこう。
まずは「美肌ゾーン」。「美肌ゾーン」とは、目の下から頬骨の高い位置、こめかみまで。ここにたっぷりとファンデーション(伸びのよいリキッドファンデーション)を塗る。
次に「目」。ここで大切なのは、マスカラではなくしっかりアイラアッシュカーラーで「まつ毛」を上げること。まつ毛の太さでも量でもなく、まつ毛が上がっているかどうか。つまり、マスカラよりもカールキープ下地が大切。また、「アイライン」も忘れてはいけない。
最後に「チーク」。血色をよく見せる効果がある「チーク」(アプリコット色のクリームチーク)も絶対に忘れてはならない。
「メイクのテクニックは急に身につくことはなく、毎日実直にするしか上達の道はありませんが、この3つは最優先で覚えておきましょう」
冒頭にふれたマスク着用時のメイクについても書いている。これは、肌には薄くてもファンデーションをして、あとはアイメイクをするだけで十分という。
まず、ファンデーションを「美肌ゾーン」に盛り、ツヤ感を出す。アイメイクはアイラッシュカーラー、カールキープ下地、アイラインだけ。マスカラもアイシャドウもいらない。大事なのは「マスクから見えている肌がきれいなこと」。この2点だけで、きちんとした清潔感が出るという。
たとえば、ちょっと近所に出かけるときはササッと顔にミネラルパウダーをはたくことで、肌が均一になりきれいに見えたり、朝疲れた顔をしているときはオレンジのアイシャドウで目をふっくら見せたりと、「すべてのメイクには、理由があります」としている。
「どんなシーンでも、どんな状況でも、メイクのキモさえ知っていれば自分を最高に見せられる」
「実はあなたが悩んでいることって、ものすごく簡単に、ちょっとの手間で解決するものです。この本で取り上げなかった悩みも、内容を応用するだけで、驚くほど解決できるはず。そんな、メイクの筋肉がつく本に仕上がりました」
毎日の洗顔、スキンケア、お風呂、たまのメイクのとき、本書のテクニックを実践しながらやってみたところ、評者はどんどん楽しくなってきた。近頃すっかりメイクもせず、自分の容姿に無頓着になっていたが、それではいけないと本書を読んで気がついた。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?