読むべき本、見逃していない?

今春から小学3年生で英語を勉強することになるけれど...

  • 書名 対談④! プロフェッショナルの英語術
  • 監修・編集・著者名三宅義和 著
  • 出版社名プレジデント社
  • 出版年月日2019年12月19日
  • 定価本体1000円+税
  • 判型・ページ数四六判・267ページ
  • ISBN9784833423540

 本書『対談④! プロフェッショナルの英語術』(プレジデント社)は、ビジネス誌「プレジデント」を発行するプレジデント社が運営するWebサイト「プレジデントオンライン」の連載「英語を話せれば一流になれるのか?」の記事をまとめたものだ。英会話学習事業を展開するイーオンの三宅義和社長がホストとなり、学者、アナウンサー、俳優、スポーツ選手、宇宙飛行士など、さまざまな世界で活躍する「プロフェッショナル」をゲストに、英語学習体験などを通して「グローバルに活躍できる人材」について語り合った対談集だ。

英語はある日突然伸びる

 脳科学者の茂木健一郎さん、俳優の鈴木亮平さんら8人が登場する。通して読むと、英語が上達するターニングポイントがそれぞれあったことがわかる。

 茂木さんは学生時代、「日米学生会議」に参加し、1か月間、シカゴやニューヨークなどでアメリカの学生と共同生活をしながら英語漬けの毎日を送った。ネイティブのなかに自分だけがいるという心細さから、英語に対してもっと真剣に向き合いたいと思ったという。

 また、茂木さんは日本人の子どもが親の転勤などで海外の学校に放り込まれると、半年くらいはしゃべれない「サイレント・ピリオド(沈黙期間)」について触れている。本人はあまり成長していないように感じても、それを突破すると何を言っているのか理解できるようになり、しゃべれるようになるそうだ。パターン学習をしている最中なんだ、とあきらめずに努力を続けると、「ある日、ヒューンと突然伸びる」と励ましている。

中学英語でなんとかなる

 俳優の鈴木亮平さんは、東京外国語大学を卒業、英検1級の資格を持つ。中学時代に英語圏で2度のホームステイを体験し、高校1年でアメリカのオクラホマに1年留学した。まったく逃げ場のない状況で、英語だけでなく、アメリカ人とどういった態度で接するべきとか、日本人としてどう見られているかといったことを学べたことが大きいという。

 鈴木さんは中学英語だけでなんとかなるという本を2018年に出している。飛行機で後ろの席の人に「シートを倒していいですか?」と尋ねるときには、いろいろ考えなくても、相手の目を見て、席を指さしながら「May I?」と言うだけで通じる、と話す。

 また英語学習者へのメッセージとして、英語そのものが目的だとモチベーションが長続きしない、あくまでも何か大きな目標に対する手段として捉えなおすといい、とアドバイスしている。

Itは「魔法の言葉」

 『渋滞学』などの著者がある数理物理学者の西成活裕さん(東京大学先端科学技術研究センター教授)は、外国人との議論の際に便利な「魔法の言葉」を紹介している。「I doubt it」だ。「果たしてそうだろうか?」と。とりあえずそう返して、反論する時間を稼ぐといいという。

 もうひとつのマジックワードが「It」だ。本当に困ったときに重宝するのが形式主語のItで、とりあえずそう言ってからあれこれ考えるとなんとかなるそうだ。

 いま英語を意識して学んでいることとして、BBCの5分番組を毎日タブレットで聴いていることを挙げる。また、科学の世界では日本語の論文はまったく意味がないので、大学生に論文を書かせるときも英語、ゼミでは日本語禁止で、全部英語だという。

 このほかの人の英語学習法を紹介しよう。

 三田友梨佳さん(フジテレビアナウンサー) 好きな映画を英語字幕を音読しながら観る。
 青木宣親さん(プロ野球選手) メジャーリーグでは自分から積極的に話しかけた。
 山崎直子さん(宇宙飛行士) 英文を見ながら、聞きながら、声に出して読む。
 西内啓さん(統計家) 発音のルールを理解してからは文字と音がどんどんリンクして、ついには英語を聞いたときに脳内に英語の字幕が出てくるようになった。

子どもを英語嫌いにさせないこと

 本書の最後に登場するのは、英語教育の第一人者で立教大学名誉教授の鳥飼玖美子さんだ。意外なことに小学校の英語教育には懸念を示している。2020年4月から、公立小学校で5年生以上を対象に行われてきた英語活動(教科ではなく、英語に親しむ活動)が3年生に前倒しされ、5年生からは教科になり評価の対象になるが、これにも否定的だ。

 以前から私立小学校では英語を教える学校がたくさんあるが、期待するほどの効果を上げていないのがその理由の一つだ。中学校では半年もたてば外部から受験して入った生徒が逆転するケースが多いというのだ。

 小学校で英語を楽しく学んできた子どもたちは、自分は英語ができると思っているけれども、中学に入って急に難しくなるとついていけずに脱落する場合が多いという。

 また、専門の教員を養成しないまま小学校で英語教育を始めるのは国の政策として無謀だと警鐘を鳴らしている。学習指導要領を読むと、小学校も中学校も高校も内容がほとんど同じで、文科省が小学生に学ばせようとしている英語の知識は、学校の授業だけでは到底身につかないという。親がすべきことは「まったくできなくても気にしなくていい」と割り切り、「子どもを英語嫌いにさせないこと」だと話している。

 また、延期が決まった大学入試でのスピーキング力の測定についても必要はまったくない、と断言する。公平性や客観性を追求していくとテストの内容も決まりきった会話の定型文になり、結局は定型表現の暗記になってしまうからだ。そして、センター入試こそ日本が誇れるテストだと評価している。

 ところで鳥飼さんからのアドバイスは何か。仕事で英語を使うには最低8000語から1万語の語彙が必要で、学校では到底教えることはできない。「いい英文をたくさん読む。声に出して読む。そしてそれを使ってみること」。そして、「きれいな発音よりも文法を磨いたほうがいい」。

 「外国語は異なる文化への窓です。とくに英語は日本語と比べると発想法から論理構成まで何もかもが違う言語なので、それを学ぶことで異質性に対応することを学ぶことができます。英語を出発点に他の外国語も学び、世界への窓が増えれば、人生が豊かになると信じています」

 鳥飼さんのことばは、多くの人の参考になるだろう。

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