テレビなどで認知症が取り上げられると、「うちの親は大丈夫だろうか」と不安になってしまう。親だけではない。自分自身も最近、もの忘れが増えてきたような気が......。
認知症を予防するためのノウハウはさまざまだが、「歯」も深い関わりがあるという。
2023年5月23日に発売された『認知症になりたくなければ歯周病を治しなさい』(あさ出版)は、認知症やアルツハイマー病について「歯周病」との関係性からアプローチし、発症の原因や予防法を解説した1冊だ。
著者の福田真一さんは、全国から1万人の患者が訪れる「福田デンタルクリニック」の院長。歯周病と認知症(アルツハイマー病)の知られざる関係を、最新の研究をもとにわかりやすく解説してくれる。
なぜ歯周病が認知症を引き起こすのか、そもそも歯周病とはどのような病気なのか、認知症の発症を防ぐためにどのようなオーラルケアや生活習慣の改善を行えばよいのか......など、高齢の親はもちろん、自身の生活にも取り入れられる、役立つ知識が盛りだくさんだ。
本書の第1章では、歯の健康と認知症の関係を明らかにした、「ヒサヤマスタディ」という著名な研究を紹介している。これによると、歯の本数が少ない人ほど、認知症を発症するリスクが高くなる傾向にあることがわかったという。
「歯の本数と認知症に深い関係があるというのは今や医学界では共通認識となっています」
なぜ歯の本数が少ないと、認知症にかかるリスクが高くなってしまうのだろう。著者の福田さんは、歯の本数が少ないことで食べ物を噛むという行為が限定的になることを理由に挙げる。
歯と歯を支えている骨の間には「歯根膜」という組織があり、食べ物を噛んだときの力を吸収・分散してくれる役割がある。「衝撃を和らげるクッションのような機能」を持つこの歯根膜が、食べ物を噛んだときの圧力などで脳に血液を送り出す。このとき、歯の本数を保っていてよく噛む人ほど、よりたくさんの血液を脳に送れるのだそう。
「脳は血液中に含まれる多くの新鮮な酸素を受け取って、日々のエネルギーとして使っています」
しかし、歯の本数が少なければ食べ物を噛む行為にも制限があり、脳に血液があまり送られない。その状態が続くと脳の機能が低下していき、「脳のゴミ」と呼ばれる物質が溜まっていくのだという。そのうちにもの忘れなどの症状を引き起こし、結果として認知症を発症するリスクも高くなってしまうとのこと。
本書では、歯周病と認知症の関係を解説した上で、発症リスクの原因にもなる歯周病を予防・改善するための歯磨きについても紹介している。次回は、「プロが教える正しい歯磨き方法」を見ていこう。
■福田真一さんプロフィール
ふくだ・しんいち/福田デンタルクリニック院長、医学博士。1959年、兵庫県神戸市生まれ。93年、「福田デンタルクリニック」(大阪府大阪市)を開院。口腔医療と全身疾患の関係を研究した「トータルヘルスケア・コーチング(福田式11箇条)」を取り入れ、患者に提案。スタッフ全員に食養指導士の資格保有を義務付け、食養について専門的なアドバイスを行っている。2011年には医療者が必ず直面する「命」の問題に向き合うために、一般財団法人大阪国学院にて神職資格を取得。2023年現在、「福田デンタルクリニック」は紹介患者99%、リピート率98%、全国から1万人の患者が訪れる大人気のクリニックに。
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