短編をもとにした映画『ドライブ・マイ・カー』が話題になったり、ロシアで著書が同性愛宣伝禁止法の対象になったりと、近年再び存在感が高まっている村上春樹さん。2023年4月13日に予定されている6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』の発売がいまから待ちきれない、という人も多いはず。
4月10日発売の「AERA(アエラ)2023年4月17日号」(朝日新聞出版)の巻頭特集は、「『村上春樹』を読む」。新作発売に向けて高まる期待を共有し、村上作品の魅力にどっぷりと浸れる特集となっている。
日本文学を研究しているタレントのマシュー・チョジックさんは、まだアメリカに住むティーンエイジャーだった頃、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読み、その展開や文体に魅了された。
ポストモダン的なのに、外国人ですら原文でスラスラ読める。「普通は共存できない」ニュアンスが同時に宿る村上さんの特殊な文章に「シェークスピアと紫式部とスティーブン・キングを足しても、彼には及ばないと思う」と感動。ハーバード大学で村上作品を研究し、研究を深めていくうちに日本で暮らすようになったという。
日本人にとって彼の作品は、オシャレで垢抜けたアメリカ文学的な要素を感じさせる。だが、チョジックさんによると、アメリカでは村上さんの作品は非常にエキゾチックな扱いをされていて、同じ表現を読んでも日米でとらえ方が違ってくることがあるという。
たとえば『海辺のカフカ』のなかに、急に空から魚が雨のように降ってくるシーンがあります。この部分は日本では聖書に出てくるような描写だと解釈されていますが、アメリカの雑誌「ニューヨーカー」では、日本は神道の国で宗教的に考えると当然起こると分析していました。(チョジックさん)
また、本の装丁も日米で対照的だという。『ノルウェイの森』は、日本ではクリスマスカラーのデザインだが、英語版だと日本人女性の写真が使われている。村上さんの小説には、誰が読んでも「ここではないどこか」を連想させるエキゾチックな部分があるのかもしれない。
記事では他にも、村上さんと個人的交流もある、総合地球環境学研究所所長で霊長類学者の山極壽一さんや、テレビ朝日アナウンサーの弘中綾香さんが、自分にとっての村上作品の魅力を語っている。
名物連載「現代の肖像」には、統一協会問題で一躍有名になったジャーナリスト・鈴木エイトさんが登場。宗教2世問題が話題になる20年以上前からカルト問題に興味を持ち、大手マスコミに属さず、「やや日刊カルト新聞」など独立したメディアで問題提起を行ってきた。いったい、その原動力はどこにあるのか。また、取材をはじめるきっかけになった出来事とは。話題の人物の深層に迫っている。
表紙には、デビュー前でありながら高い人気を誇るジャニーズJr.のAぇ! groupが登場。ロングインタビューでは、初の全国ツアー「Aッ!!!!!と驚き全国ツアー2023」を開催中の彼らが、今後への思いを「日本のアイドルの天下人になりたい」など、強い言葉で語っている。もちろん撮影は蜷川実花さん。彼らのあふれるエネルギーを閉じ込めた写真は必見だ。
3月28日に亡くなった世界的音楽家の坂本龍一さんを追悼する記事も掲載されている。映画「戦場のメリークリスマス」のタイトル曲やYMO時代のテクノポップスなど、坂本さんが手がけた多様な音楽に共通している「魅力の核」とはなにか。記事では、2011年の東日本大震災後に福島市であった音楽フェスで、記者に本人が語っていた言葉も紹介されている。
また、連載「松下洸平 じゅうにんといろ」は、天海祐希さんをゲストに迎えた対談のラスト回。松下さんと天海さんが「憧れの人」について、具体的な名前を挙げながら語り合っている。
今号では、以下の記事も掲載。
プーチンは死ぬまで権力離さない
女性の政治進出阻む幾重もの壁
大学は贅沢ですか いまだに認められない大学生の生活保護
「AIは世界の終わり」 イーロン・マスク氏らも警鐘
誹謗中傷引き起こすネット記事の配信責任は?
フィンランド サンナ・マリン首相敗北の背景に「経済」
戴冠式を迎える英王室の課題
私のことはスルーして 仲間内SNSで"リアクション待ち"されるストレス
ピンチは雪だるま式に おとなの「大ピンチずかん」
タカラジェンヌのセカンドキャリア
大宮エリー東大ふたり同窓会 ゲスト 泉房穂・兵庫県明石市長
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?