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V系バンド大好き40代。老後はオタク仲間と暮らすって、実現可能ですか?

バンギャルちゃんの老後

 ヴィジュアル系バンドの熱狂的ファン、いわゆる「バンギャル」。ライブに行っては仲間たちと語り合う日々を送っていたら、気づけばアラフォーに。そろそろ老後を考えなければ......でもどうする?

 バンギャルのフリーライター・藤谷千明さんと漫画家・蟹めんまさんが、バンギャルたちの老後計画を本気で考えた一冊『バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた』(発行:ホーム社 発売:集英社)が発売された。


 ライブ後に盛り上がった会話から、「『バンギャル老人ホーム』が作れないか」と考えた藤谷さんと蟹さん。「貯金なし・配偶者なし・知識なし(でもオタク仲間はいる)」のオタクたちに、明るい老後はやってくるのか?


「わからないことだらけ」の藤谷さんと蟹さんは、まず、老人ホーム・介護施設検索サービス「LIFULL介護」編集長の小菅秀樹さんと、「LIFULL介護」が運営するウェブメディア「tayorini」の編集者であり元バンギャルのOさんに話を聞くことに。「第1章 老後をオタク仲間と暮らすには?」から、その模様を一部ご紹介しよう。


~ 以下本文より ~

オタクのための老人ホームって作れますか? そもそも老人ホームとは

「バンギャル同士で老人ホームを作って、将来は楽しく暮らそう!」と盛り上がるも、老人ホームってどうやって作ればいいの? 個人でも作れるものなの? そもそも老人ホームとは? 疑問は尽きません。まずは老人ホーム検索サービス「LIFULL介護」の小菅さんにお話を伺うことから始めましょう。

趣味推しの介護施設って存在するの?

藤谷:いきなりですが、私たちは「バンギャル老人ホーム=趣味でつながる老人ホーム」を作りたいと考えています。そのような施設はすでに存在するのでしょうか?

小菅:結論から申し上げますと、聞いたことがありません。現状、介護施設というのは、ご本人が選ぶのではなく、ご家族が選ぶことが多いんです。その場合は住みやすさや、スタッフの質など、安全に暮らせることが優先されます。

蟹:そうすると、趣味は二の次、三の次になっちゃいますね。

小菅:介護が必要ない自立の方に向けた施設の場合ですと、社交ダンスやコーラス、ダーツやビリヤードなどのサークル活動や、レクリエーションに力を入れているところもあります。

O:ただ、「うちでは芸人さんが毎日来ます!」とか「歌手の方が毎日コンサートします」とか、エンタメを前面に出した施設という話は、あまり聞いたことがありませんね。

藤谷:どうしてなんですかね?

小菅:歌手やタレントの出演料は、すべて施設の利用料に転嫁されます。利用料が高額だと入居者が限定されてしまいますよね。現状では、娯楽よりも、医療やリハビリに特化した介護施設であれば多少高額でも人気がある......という感じですね。

蟹:そう言われると、現状だと難しいかもしれませんね。今後増える可能性はあるのでしょうか? 実は私、介護資格(介護職員初任者研修)を取るために学校に通っていたことがあって、そこの先生が、「身の回りの介助はもちろん大切だけれど、趣味を充実させると幸福感はぐっと高まる。だから濃い趣味を持っている介護士と利用者さんは意気投合しやすく信頼関係も生まれやすい」という話をされていたのが印象に残っているんです。介護のテクニックとは別に、共通の趣味で盛り上がれる施設や、介護士の需要も増えそうだな......って。

藤谷:例えばですが、「婚活」も流行り始めた頃と違って、最近は差別化をはかるためなのか、「ロック婚活」とか「オタク婚活」とか、趣味を押し出しているものも増えました。そのうち老人ホームも、漫画がたくさん読める「漫画オタク老人ホーム」、充実したシアタールームのある「映画好き老人ホーム」みたいな施設が出てくる可能性もあるのでは。

小菅:映画好き老人ホームなら、僕も入りたいですね(笑)。そういった施設が出てくる可能性も、ゼロではないと思います。趣味を続けている人は、肉体的にも精神的にも「元気で若い」人が多いと言われていますし。

~ 以上、本文より ~


 一つの趣味を中心とした老人ホームは、まだなさそう。でも、もしかしたらこれから生まれる可能性も? 藤谷さんと蟹さんはさらに、高齢者のための施設を自力で設立した人や、バンギャルの大先輩に話を聞きに行く。「バンギャル老人ホーム」を実現するヒントは果たして見つけられるのか。

 次回、本書から、X JAPANのhideさんと交流のあったライターの大島暁美さんに「老後と、仕事と、趣味」を聞いたインタビューをご紹介する。


〈著者プロフィール〉

■藤谷千明さん
ふじたに・ちあき/1981年生まれ。自衛官、書店員などの職を経てフリーライターに。バンギャル歴は約四半世紀。著書に『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』などがある。介護職員初任者研修を取得し、訪問介護にも従事する。

■蟹めんまさん
かに・めんま/漫画家・イラストレーター。奈良県出身・在住。バンギャル歴20年以上。著書に『バンギャルちゃんの日常』『バンギャルちゃんの挑戦』などがある。介護職員初任者研修修了。


※画像提供:ホーム社


  
  • 書名 バンギャルちゃんの老後
  • サブタイトルオタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた
  • 監修・編集・著者名藤谷 千明、蟹 めんま 著/LIFULL介護 監修
  • 出版社名ホーム社 発行、集英社 発売
  • 出版年月日2023年3月24日
  • 定価1,320円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・192ページ
  • ISBN9784834253672

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