老眼、ひざ痛、もの忘れ......老いに悩んでいる人は、食事に目を向けるとよいかもしれない。中医師で料理研究家の石澤清美さんによる『60歳からの「老けない人」の漢方ごはん』(Gakken)は、中医学にもとづいて、老化を防ぐ食習慣とレシピを紹介した一冊だ。
「漢方」は、中医学をもとに日本で発展した医学。漢方薬のイメージが強いかもしれないが、中医学の基本は「薬食同源」、つまり食事で体を整えれば薬は必要ないという考え方だ。
本書によると、中医学では、体を構成する五臓(心、肺、脾、肝、腎)のうち「腎」(西洋医学の腎臓、副腎、生殖器を合わせた機能をもつ)に、命の源「腎精」が宿るとされているそう。腎精のピークは30代半ばごろまでで、40歳以降は減り続ける。これが老化だ。腎精を補い、腎を養生するのにいい食材とは?
本書の内容は以下の通り。
●第1章:カギは「腎」。60代からの元気は「補腎」が作る
「老化」とは何か、そしてその予防策を、中医学の観点からわかりやすく解説。
●第2章:種実類は命の源を宿す最強腎精増強剤。毎日手軽においしく!
種実類は「命を宿す食材」。3大種実の「黒豆」「黒ごま」「くるみ」の働きとレシピを紹介。
●第3章:腎を養う身近な10食材で、老化に立ち向かう簡単レシピ
腎を養う食材の中でも積極的に食べたいのは、「山いも」「ブロッコリー・カリフラワー」「にら」「しめじ・エリンギ・なめこ」「いわし・あじ・かつお」「あさり」「えび・干しえび」「豚肉」「鶏レバー」「羊肉」。各食材の効能と、働き方などの効能分類「性味帰経」にのっとった、おいしい食べ方レシピを豊富に掲載。
本書第1章では、ぜひ心がけたい「60歳からの漢方ごはん 五か条」が紹介されている。
第一条:命を宿す食材を取り入れる
命を宿す食材とは、芽吹く力を持つ豆やナッツなどの種実類のこと。
第二条:腎を補う食材を知る
本書では10食材を取り上げ、おいしく食べるレシピを紹介。
第三条:冷やさない
60歳以降は温める力が不足しがち。温かなものを食べるよう心掛けて。
第四条:「過ぎ」ない
何ごとも過ぎないが肝腎。「腹八分目」を思い出して。
第五条:いろいろなものを食べる
食材、味にはそれぞれ働きがあります。「五色五味」を忘れずに。
加えて、食事の前には必ず「深呼吸」をするとよいそう。その理由は本書で確かめよう。
〈本書掲載の料理(一部)〉
にんじんと卵の潤目炒めナムル
黒ごまは、血を補って潤いを生む。さらに古くから夜盲症の治療に使われているにんじんと、命の源・卵で、目の潤いを取り戻してくれる。
レバーと菜の花の補血活血炒め
菜の花は、体に溜まった澱を排出してくれる。補血の代表・レバーと組み合わせて、潤いとなる血を全身に行きわたらせよう。
長いもと芽キャベツの強足腰ポトフ
山いもは強壮食材としておなじみ。骨付き肉をゆっくり煮出し、筋力をつける助けになる芽キャベツを合わせた、足腰が強くなるメニュー。
えびとオクラの疲労回復ガンボ
冷えによる滞りを解消するえび、疲労回復のもととなるオクラ、肉体虚損を補う鶏肉、潤い力のあるトマトで元気を取り戻す一皿。
■石澤清美さんプロフィール
いしざわ・きよみ/国際中医師、国際中医薬膳師。料理研究家。米国NTI認定栄養コンサルタント。ハーバルセラピスト。食べものと体の関係についての勉強を長年続けている。日々の家庭料理をはじめ、菓子やパン、保存食など、豊富な食養生の知識を生かした体にやさしいレシピを雑誌・書籍などで紹介。
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