一部の投資家だけに限らず、近年、ごく身近なものになってきた「投資」。とはいえ、まだ不安なイメージがあり、なかなか踏み切れないという人も多いだろう。
そんな人にも取り組みやすい、放っておくだけでお金が増えるという「ほったらかし投資」をわかりやすく解説しているのが『お金に働いてもらう! ほったらかし投資』(ポプラ社)。
BOOKウォッチではこれまで、本書から「ほったらかし投資の3原則」と初心者におすすめの「つみたてNISA」について紹介してきた。今回は、もう一つのおすすめ「iDeCo」について紹介する。
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のこと。それまで「確定拠出年金」といえば、会社員が対象の企業型のみだったが、2002年から自営業者や個人事業主向けであるiDeCoの制度が始まったのだ。
名前に「年金」とあるように、これは年金型の運用スタイルの投資商品である。このiDeCoの特徴として、著者の杉原杏璃さんは以下の5つを挙げている。
1. 投資額は5000円以上、1000円単位で決定可能
2. ほぼすべての金融機関でiDeCoサービスを提供
3. 運用商品は投資信託と元本確保型の2種類
4. 運用益やリスクを考えて商品の組み合わせの変更可能
5. 3つの優遇制度(所得控除、運用益非課税、受け取り時の税制優遇)
まず、5000円以上から掛け金の額を決めることができ、年に1回だけ掛け金の増減を変更できる。また、NISA同様、たいていの金融機関でiDeCoの運用ができるが、大きく異なるのが「元本確保型」の商品がある点だ。ただし、現在はいずれも利息が低いので注意したい。
「元本確保型商品とは、定期預金と年金保険商品です。iDeCoの商品も同様に、定期預金は0.01%、年金保険は0.005%というとても低い利率。今後金利が上がる兆しが見えない限り、ほったらかし投資の運用では、iDeCoの元本確保型は選択肢から外していいでしょう」
投資する商品の組み合わせは変更できるので、金融機関から送られてくる資産残高などの口座情報をチェックし、運用益やリスクを考慮しながら対応するのがいいだろう。
最大のメリットは、投資資金については所得が控除される点。運用益も非課税であり、受け取るときには税制面で優遇を受けられる。
杉原さんは、「iDeCoは、老後に備えて長期的に資産運用するものなので、ほったらかしが基本です。そう頻繁に見直す必要はありません」と述べつつ、10年に1度くらいは運用内容を振り返って見直してみることを勧めている。
ライフステージや自身の資産状況の変化によって、どのくらいのリスクまで受け入れられるかは違ってくるからだ。
10年に1度のタイミング以外にも、転職、昇進、収入が増えたときは掛け金の見直しに適しているとのこと。iDeCoは掛け金の全額が所得控除されるというメリットがあるため、掛け金はなるべく高く設定することが推奨される。
本書は、「ほったらかし投資」のやり方をとっつきやすい語り口で解説しているほか、コラムでは杉原さんの投資セミナーで学んだ人などの投資体験談も豊富に掲載されている。これまで「投資」をなんとなく敬遠していた人も、「ほったらかして」お金を増やすには具体的に何から始めればいいのか、よりイメージしやすくなるだろう。
■杉原杏璃さんプロフィール
すぎはら・あんり/1982 年生まれ、広島県出身。グラビアアイドルとして雑誌やテレビ番組に多数出演。23 歳のとき30 万円で投資を始めて、5年間で1000 万円、今は億り人に。著書にベストセラーになった『株は夢をかなえる道具』のほか、『不動産投資は自分らしく生きる道具』(以上、祥伝社)『マンガでよくわかる 株1 年生』(かんき出版)がある。現在は株投資、不動産関連のイベントやセミナーにも多数出演中。
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