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「約束は守ったよ、褒めて」――女性死刑囚が遺した言葉の真意とは。注目の本格的犯罪小説

教誨

 幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉――
 「約束は守ったよ、褒めて」

 2022年11月25日に発売された、柚月裕子さんの本格的長編犯罪小説『教誨(きょうかい)』(小学館)が発売たちまち重版となった。

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 本作は、ベストセラー『孤狼の血』『慈雨』『盤上の向日葵』に連なる1年ぶりの長編で、女性死刑囚の心に迫る柚月ミステリーの新境地。

 吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚・三原響子から身元引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は10年前、我が子も含む女児2人を殺めたとされた。香純は死刑当日の響子がどんな様子だったのか、拘置所の職員に訊ねた。

<遠くを見ながら、約束は守ったよ、褒めて、と。それが最期の言葉でした」
響子は誰かと約束をしていたらしい。
「その約束とはなんですか。誰と交わしていたんでしょう」
橘が首を横に振る。
「わかりません。最後の言葉がどのようなものであっても、立会人はなにも訊ねません」
命乞いをしても、恨み言を叫んでも、刑の執行は変わらない。どのような言葉でもただ受け止めることが、いまから死する者への恩情ということか。
響子が最後までこだわっていた約束とはなんなのか、気になる。>(本文より)

 香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、香純は事件を知る関係者と面会を重ねていく――。

 誰と交わした、どんな「約束」だったのか。大きな反響を呼んでいる本作。読み始めたら止まらなくなりそうだ。

「自分の作品のなかで、犯罪というものを一番掘り下げた作品です。執筆中、辛くてなんども書けなくなりました。こんなに苦しかった作品ははじめてです。響子が交わした約束とはなんだったのか、香純と一緒に追いかけてください」(柚月裕子さん)

■柚月裕子さんプロフィール
ゆづき・ゆうこ/1968年岩手県生まれ。2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。他の著書に、『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオの咲く夏』などがある。


※画像提供:小学館


 
  • 書名 教誨
  • 監修・編集・著者名柚月 裕子 著
  • 出版社名小学館
  • 出版年月日2022年11月25日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・320ページ
  • ISBN9784093866644

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