ドラマファンが熱い視線を送る、関西テレビ制作の連続ドラマ「エルピス ―希望、あるいは災い―」。その脚本を完全収録したシナリオブックが、来年1月31日(予定)に河出書房新社より刊行される。
話題の連続ドラマ「エルピス ―希望、あるいは災い―」(制作著作 関西テレビ)は、スキャンダルによってエースの座から転落した元人気女子アナ・浅川恵那(長澤まさみ)と、バラエティ番組の冴えない若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)が、12年前に起きたある連続殺人事件のえん罪疑惑を解明するために奮闘する社会派エンターテインメント。
「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」など数々の話題作を手がけてきたプロデューサー・佐野亜裕美さんと、NHK連続テレビ小説「カーネーション」などの脚本を担当した渡辺あやさんのコンビを中心に、豪華スタッフが集結。演出には「モテキ」「いだてん~東京オリムピック噺~」の大根仁さん、音楽には「あまちゃん」「花束みたいな恋をした」の大友良英さんが参加している。
これまでNHKを中心に社会派のテーマを取り上げてきた渡辺さんにとって、本作は自身初の民放連続ドラマ。プロデューサーの佐野さんがあちこちのテレビ局に企画を持ち込んでは「リスクが高い」と断られ、元々勤めていたTBSを辞め、関西テレビに移ってようやく実現した渾身の一作でもあるという。
微妙な人間関係のもつれや葛藤。舞台となるテレビ局のリアルな描写。そして出演陣の演技、演出、音楽のクオリティの高さで視聴者を惹きつけ、大きな反響を呼んでいる本作。「個人と社会の軋轢と葛藤」というテーマをさらに深化させ、エンターテインメントへと昇華させた比類ない作品となっている。
今回発売が決定したシナリオブックを片手にドラマを振り返れば、その世界観にいっそう惹き込まれるだろう。本書に収録される渡辺さんと佐野さんの「特別対談」も必見。
「私はもう、のみこめない。これ以上」
「のみこみたくないものは、のみこまない。でないともう」
「死ぬし、私」
(浅川恵那「#1 えん罪とバラエティ」より)
「この国の死刑は、いつ執行されるかも順番も決まってないって知ってますか。お偉いさんの都合で、いつでもいいんです。なんかよく、突然まとめてされたりしてるでしょう。ゴミでも捨てるみたいに。」
(弁護士・木村卓「#2 女子アナと死刑囚」より)
「普通に正しく生きてればいいの。いい人間になれば、勝手にいい声になるんだよ」
(浅川恵那「#2 女子アナと死刑囚」より)
「考えず、悩まず、ただ鼻をきかせ、長いものに巻かれる。それが人生に勝っていくってことなんですよ、どうやら」
(拓朗の友人・悠介「#3 披露宴と墓参り」より)
「およそ物事はそれが語られるにふさわしい位相を求めるものです」
「あなたがお知りになりたいことは、言語なんて目の粗い道具だけですくいきれるものではありませんよ」
(雑貨屋店主・男「#3 披露宴と墓参り」より)
「おじさんたちのメンツとプライドは地雷なの! 死んでも踏まないように歩かなきゃいけないんだよっ!」
(浅川恵那「#4 視聴率と再審請求」より)
■渡辺あやさんプロフィール
わたなべ・あや/1970年生まれ。2003年、映画「ジョゼと虎と魚たち」で脚本家デビュー。作品にNHK連続テレビ小説「カーネーション」、映画「メゾン・ド・ヒミコ」、テレビドラマ「その街のこども」「ワンダーウォール」など。
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