ロシアのサンクトペテルブルク出身のスヴェトラーナ・ペトロヴァさんは、数々のユーモラスな作品を生み出すアーティスト。なかでも、亡き母から託された茶トラのぽっちゃり猫のツァラトゥストラが名画に降誕する「ファット・キャット・アート」がインターネット上で話題になり、世界中から注目を集めている。
12月13日、『新装版 ファット・キャット・アート』(エクスナレッジ)が発売された。2017年に刊行された作品の新装版で、新たに訳者あとがきも収録している。
ツァラトゥストラのモフモフ感とユーモラスな表情はもちろん、ツァラトゥストラによる作品紹介も楽しい。例えばサンドロ・ボッティチェリの名画、「ヴィーナスの誕生」は、こんな具合だ。
煩悩だらけのヴィーニャス誕生
(前略)ここに真の作品をご覧にいれよう。これぞ名作中の名作、『ヴィーニャスの誕生』である。プラトン信幸者であった友人のマルシリオ・フィチーノの助言のもと、サンドロ・ボッティチェッリが我輩をモデルに描いた渾身の作品だ。どうやらマルシリオは、吾輩が大の「響宴」好きだと知っていたらしい。
そしてもちろん我輩は、プラトニックな日常を心掛けている......。
「モナ・リザ」が微笑んでいるのも、ツァラトゥストラのおかげ?! あの名画にこんな裏話があったとは......!
永遠の微笑の謎を解け!
『モナ・リザ』のほほ笑みの謎は、もはや解けたも同然だ。彼女がたたえる微笑の秘密は、何を隠そう、このツァラトゥストラにあったのだ。10キログラムを超えるもふもふをひざに乗せて、笑みをこぼさずにいられる者がいるだろうか!
しかし、当時の評論家や画商が猫をあんまり嫌う者だから、レオナルドはしぶしぶ我輩の姿を消し去った。それでもモナ・リザは永遠に、美しい微笑をたたえつづける。
ほかにも、フェルメールの『牛乳を注ぐ女』やクリムトの『接吻』、ミケランジェロの『アダムの創造』、ラファエロの二人の天使などなど、ツァラトゥストラは古今東西の名画に神出鬼没する。猫好き、アート好き、そして「ほんとうの美術史」を知りたい方は、ぜひ!
■スヴェトラーナ・ペトロヴァさんプロフィール
ロシアのサンクトペテルブルク出身のアーティスト。亡き母から託されたぽっちゃり猫のツァラトゥストラとともに、これまで数々のユーモラスなアート作品を生み出している。2014年春には、イギリスで個展も開催された。現在はジョージアのバトゥミで2匹の猫たちとともに暮らし、フィンランドのヘルシンキを拠点に創作活動を行っている。
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