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BOOKウォッチが選ぶ「パパになったあの人に贈る本」13選

ヨチヨチ父 とまどう日々

 産後パパ育休制度が施行されて2カ月。最近ベビーが生まれたばかりの編集部員も育休をとって奮闘中だ。そんな彼を応援すべく、皆で何かお祝いを......ということで、新米パパにおすすめの本を各自で選書することに。20代の新人から60代のベテラン記者まで個性豊かな面々が選んだ本を紹介しよう。

娘目線、後輩目線、ママ目線

 トップバッターは20代の新人部員H。小学校を卒業するまで母に読み聞かせをしてもらっていたという彼女が「パパのためというより、娘のためかもですが...」と選んだのは、この3冊。

『パパ、お月さまとって!』

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エリック・カール 作/もりひさし 訳 偕成社

 はらぺこあおむしのエリック・カールの名作絵本。お月さまと遊びたいモニカのためにお父さんが奮闘します。父と娘のコミュニケーションのきっかけに。


『くまのコールテンくん』

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ドン・フリ-マン 作/まつおかきょうこ 訳 偕成社

 テディベアの1体に「コールテンくん」と名づけていたほど、私が大好きだった絵本。おもちゃ売り場のコールテンくんが、取れたボタンを探して夜のデパートを冒険します。子どもならみんなわくわくする、おもちゃの世界のお話。


『しろいうさぎとくろいうさぎ』

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ガース・ウィリアムズ 文・絵/まつおかきょうこ 訳 福音館書店

 とても印象に残っていて大人になっても読みたくなる絵本のひとつ。「愛」のお話です。子どものうちはぴんとこなくても、成長するにつれてくろいうさぎの気持ちがわかってくる......そんな体験をしてもらえるといいなと思います。


 続いて若手の営業担当Kが「後学のためにも」と選んだのは実用的かつ励ましの気持ちが込もった2冊だ。

『マンガでやさしくわかるパパの子育て』

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小崎 恭弘 著/あべ かよこ マンガ 日本能率協会マネジメントセンター

 マンガなので気軽に読めるところがおすすめ。育児・家事のテクニックや仕事と育児の両立など、わかりやすく紹介している。息抜きに読んでいただければ。


『ママも子どももハッピーになる! がんばらない子育て』

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高見 知日子 著 すばる舎

 ママ向けですが、夫婦で共有できると思う。育児に対して気負ってしまう時、心に余裕を持たせてくれるんじゃないかと。応援してます!


 そして、文芸書評担当の現役ママMが、「育児はたいへんだけれど、子どもと一緒にいられる『いま』は二度と戻ってこないから」と選んだのがこちらの2冊。

『やなせたかし 明日をひらく言葉』

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PHP研究所 編 PHP研究所

 2013年に94歳で亡くなった「アンパンマン」「てのひらを太陽に」の父・やなせたかしさん。その人生は必ずしも順風満帆ではなく、ピークは後半になってやってきたという。「人生はよろこばせごっこ」「ぼくらはみんな奇跡の人なのである」......。味わいのある言葉で大切なことを教えてくれる、いつかわが子に贈りたい1冊。


『巣立っていく君へ 母から息子への50の手紙 覚えていてほしいこと、今、贈るね』

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若松 亜紀 著 青春出版社

 18歳の息子がこの春、独り立ちする。「あれ? 結局あれもこれも話してないじゃん、自分」と気づいた母が、「生きていくうえで大切にしてほしいこと」を息子にあてて書いている。そのうちにと思っていたら、子の成長はあっという間。わが子が独り立ちする未来を想像しながら、一緒にいる今のありがたみを感じられる1冊。


赤ちゃんと一緒にヨチヨチと

 変化球を投げてきたのは、編集部一の知識人S。最近、言語学にハマっているという彼が選んだのがこちら。

『子どもに学ぶ言葉の認知科学』

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広瀬 友紀 著 筑摩書房

 子どもの言い間違いや鏡文字。面白いけれど、「直さなくて大丈夫?」と不安になる親御さんもいると聞く。本書を読めば、間違いにもちゃんと意味があると分かる。人間はどうやって言葉を覚えていくのか、子どもの心の働きや認知のしくみ、言葉の法則や性質について、楽しく学べる一冊。


 そして仕事でも子育てでも大先輩の肝っ玉母さんNが子育て&孫育ての経験から選んだのは次の2冊だ。

『ヨチヨチ父 とまどう日々』

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ヨシタケシンスケ 著 赤ちゃんとママ社

 初めての赤ちゃんのいる生活、不安と驚きの中、クスっとさせてくれる一冊になるのでは。肩の力を抜いて、赤ちゃんと一緒にヨチヨチしながらパパになってくださいとの思いを込めて。


新版『赤ちゃんのいる暮らし』

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毛利 子来 著 筑摩書房

 育児書のバイブルとも言えるロングセラー本で、私もこれをよく読んだし、いちばん人にプレゼントもしたかも。慣れない育児に不安に襲われ、トンネルに入り込んでしまったみたいだと思い悩んだり、落ち込んだりした時に開いて読むと、スーッと心が落ち着く。毛利先生の大らかさが、育児には必要なんです......。


 最後に、高齢出産で産後はヘロヘロ、「あの時、パパ育休があったらなー...」とうらやむ記者が選んだのはこの3冊。

『サンタクロースの部屋 子どもと本をめぐって』

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松岡 享子 著 こぐま社

 東京子ども図書館の創設者で絵本作家、翻訳家としても知られる松岡さんの信念が詰まったエッセイ集。幼いころに「ふしぎの空間」を心に持つことの大切さ、よく言われる「子どもを一人の人間として尊重する」とはどういうことか、を教えてくれる。個人的には、あまたある育児書より腹落ちした本。絵本選びの参考にも。


『ママはテンパリスト』1~4巻

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東村 アキコ 作 集英社

 東村さんの息子、ごっちゃんの言動が面白すぎて「そんなことある?!」と思ったが、わが子の成長の過程で何度か似たような場面に遭遇した。可愛い言動もイラっとさせられるクセさえも、今となっては懐かしい。乳児期はとくにテンパっていて忘れてしまうことも多いので、「ウチの子あるある」を記録しておくことをおすすめしたい。


『Possum Magic』

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Mem Fox 著/Julie Vivas 絵 Voyager Books

 オーストラリア在住の友人が出産祝いに贈ってくれた絵本。ポッサムのおばあちゃんが、森の危険から孫を守るために姿が見えなくなる魔法をかけたら元に戻す方法を忘れてしまい、答えを探す旅へ出る。夢とユーモアがあり、絵も美しい。英語だが絵からおおよそのストーリーはわかるので、想像力で補いつつパパの言葉でアレンジするという楽しみ方も。得意な方は英語で。ただし英語に興味を示すかどうかはその子次第(ウチはあんまり...)。


 パパ育休が制度化されて、むしろプレッシャーに感じている新米パパもいるのでは。そんな時、先達の本から知恵をもらったり、マンガを読んで笑ったりして、少しでも気持ちが楽になるといい。子どもは社会の宝物。「みんなが支えているよ」というエールとともに、贈りたい。





 


  • 書名 ヨチヨチ父 とまどう日々
  • 監修・編集・著者名ヨシタケシンスケ 著
  • 出版社名赤ちゃんとママ社
  • 出版年月日2017年6月18日
  • 定価990円(税込)
  • 判型・ページ数B6判・128ページ
  • ISBN9784870141261

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