台湾で6.6万部のベストセラーとなった、過熱する学歴社会に翻弄される家族の物語『子供はあなたの所有物じゃない』(光文社)が発売された。
『子供はあなたの所有物じゃない』は、1989年生まれの呉暁楽(ご・ぎょうらく/ウー・シャオラー)さんのデビュー作。2014年に台湾で刊行された。2018年に公共放送・台湾公共電視台で実写ドラマ化され、社会的議論を巻き起こす大ヒットとなった。原作は重版され、人口の少ない台湾では異例の6.6万部のベストセラーに。実写ドラマはNetflixでも配信されている。
昨年刊行された話題の小説、中学受験を描いた『翼の翼』の著者・朝比奈あすかさんも本作を推奨し、「子供を壊してゆく親たちの姿はひたすらおぞましく、それなのに他人事と思えなかった。」とコメントを寄せている。
日本以上に厳しい学歴社会である台湾では、子供への教育熱が熾烈を極めている。台湾のトップ大学・台湾大学を卒業した著者は、家庭教師として多くの子供たちに関わるなかで、台湾家庭の歪んだ実態を目の当たりにした。親子関係や学校での人間関係など様々な子供たちの悩みと、親たちを縛る「子供をいい学校に入れなければならない」という強迫観念にも似た思いに、向き合ってきたという。
本作は、そんな著者が家庭教師としての実体験を元に紡いだ、9つの家庭の物語。それぞれに複雑な事情があり、子供も大人も幸せになれない、そんな追い詰められた台湾家庭の実情をリアルに描き出す短編集となっている。
■あらすじ
・陳君とはスタバで勉強をする。授業料は自分が払うと言い、常にタクシー移動、高価な服飾品自慢など金銭でマウントを取りたがる彼。陳家は裕福だが、あまりに複雑な事情があった・・・・・・「帰る家がなくなった彼」
・男尊女卑の強い家庭に生まれたジャスミンは、兄との明らかな差別に悩んでいる。親の歓心を買うため、常に自分を殺して親の望む道を歩んできたが・・・・・・「受け継がないもの」
・長女を志望大学に合格させた実績から、弟も指導してほしいと紀ママに頼まれる。しかし勉強が得意な姉と違い、弟は勉強嫌いでバスケットボールにのめり込み・・・・・・「才能」
過熱する学歴社会に翻弄される親と子。教育の意味と本質を問いかける、台湾で大きな話題を呼んだベストセラー小説。
■呉暁楽(ご・ぎょうらく/ウー・シャオラー)さんプロフィール
1989年台湾・台中生まれ。台湾大学法律科卒業。2014年、長年の家庭教師経験に基づく短編集『你的孩子不是你的孩子』でデビュー。同作は18年に台湾の公共電視台でドラマ化され(日本でもNetflixで配信中)大きな社会的議論を巻き起こし、7万部近い異例の大ヒット作となる。ほかに長編小説『上流児童』『我們沒有祕密(私たちに秘密はない)』『致命登入(命取りのログイン)』、エッセイ集『可是我偏偏不喜歡(だけど、とにかく嫌い)』(いずれも未訳)がある。
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