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東大合格のカギは人間関係? 2浪した「僕が気付いていなかったこと」

それでも僕は東大に合格したかった

 「なんでお前の成績は上がらないのか。(中略)お前に『意思』がないからだ」――。

 「偏差値35のド底辺」から東大を目指し、2浪して合格を果たした西岡壱誠(にしおか いっせい)さん。日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系列)の脚本監修、『東大読書』シリーズなどの著書で知られる現役東大生作家だ。

 そんな西岡さんが小説に初挑戦し、3年がかりで完成させたのが『それでも僕は東大に合格したかった』(新潮社)。本書は、西岡さんが実際に体験した「合格発表までの8日間」を描いたドキュメント・ノベル。自分が主人公の小説を書くことは「東大受験と同じくらい大変」だったという。

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本書の帯には、『ドラゴン桜』作者・三田紀房さんの推薦コメントが。
 「自分を変えたければ、東大を目指してみろ」――。高校1年のあの日、ある教師が途轍もない一言を放つ。ずっと成績最下位で、いじめられっ子で希望ゼロだった僕の人生初の挑戦が始まった。3度目の受験を終えた時、またしても想定外のミッションが......。

人間は一本の線で囲まれている

 中学3年生の時、「僕」は「師匠」と出会った。もしあの人と出会っていなかったら......と振り返るたびに感謝したくなる、そんな出会いに恵まれることは時折ある。僕にとっては師匠との出会いが、まさにそうだった。

 勉強もスポーツもダメ。頑張っても「人並み」にすらなれない。僕は自分が嫌いで、すべてを諦めていた。中高一貫校で、高校進学が危ぶまれるほど成績が悪く、先生からこっぴどく怒られることもあった。そんな僕の話を聞いてくれたのが、師匠だった。

 高校1年生のある日、僕は教室でケガを負わされ、病院に運ばれて何針か縫った。お見舞いに来た師匠は「お前、本当にそのままでいいのか?」と訊いた。そこで「人間は誰でも、実は一本の線で囲まれている」という話をした。

 「大人になるにつれて『なれま線』が作られてくる。(中略)お前は、その線がめちゃくちゃ近くにある人間だ。(中略)そんな線は本当は存在しない。お前は何にでもなれるし、なんでもできる。変われないのは、お前がお前を諦めているからだ」

 僕はもうとっくの昔に、自分を諦めていた。それが師匠の言葉を聞いて「もしかしたらできるのかもしれない」とほんの一瞬思った。そして絞り出すように言った。「変わりたいです」

 そこで師匠が提案した「僕が僕を変える方法」。それがまさかの「東大に行け」だった。

想定外のミッション

 物語は、僕が3度目の東大受験を迎えた「2月26日 試験当日」から始まり、「3月2日 合格発表まであと8日」「3月3日 合格発表まであと7日」......と、合格発表当日までカウントダウンする形で進んでいく。

 3月2日、僕は喫茶店へと向かう。しばらくぶりに会う師匠に、どん底だった僕を変えてくれたこと、東大を目指すきっかけをくれたことへの感謝を伝える。

 「死ぬほど頑張って、2浪までして、いろんなものを捨てて、ここまで来ました」と言ったところで、それまで黙って聞いていた師匠が「ふふふ、はははは」と笑った。「なんもわかってねえな、西岡」

 「明日から、毎日1人ずつ、ここで人に会え。お前が今までの人生で関わった人と会え」

 そこでまたしても無茶振りをしてきたのだった。「なんでもいいから話をして、それでお前が自分の間違いに気付ければ、お前は合格できる」と言って。試験は終わっているのだから、今更どんなに足掻いたところで合否が変わるわけない。それでも、僕は師匠の提案に乗った。

 「『1週間で、お前が捨ててきた、人間関係を清算しろ』(中略)こうして、僕の『天国と地獄の狭間』の8日間が、自分の人生の走馬灯のような8日間が、幕を開けたのだった」

 後輩、憧れのマドンナ、元いじめっ子、同級生、父親......会いたかった人も会いたくなかった人も、僕は1日1人ずつ会っていく。そうして話しながら過去を回想するうちに、「僕が気付いていなかったことの、答え」がだんだん見えてくる。

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 それにしても、師匠はとんだ切れ者だった。こんな不思議かつ魅力的な教師、そうそう出会えるものではない。その出会いを、僕はただの出会いで終わらせなかった。必死にくらいついて「東大に行け」をやってのけた。

 「ド底辺」だった僕が東大に合格するサクセスストーリーというより、師匠が投げる無理難題にあたふたしながらもぶち当たっていく僕の奮闘ストーリー、という感じがした。心の中で僕に拍手を送りながら読み終えた。

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著者の西岡壱誠さん
■西岡壱誠さんコメント
 頑張っても報われないかもしれないし、戦ったって負けるかもしれない。努力が無駄になることだって多くって、誰かに従って生きている方が楽。それでも、何か一歩前に進んだ時に、得られる何かがあるのかもしれない。照れ臭いですが、そんな風に、読んでくれた誰かの希望になれたなら、と思っております。

■西岡壱誠さんプロフィール

 1996年生まれ。東京都出身。偏差値35から東大を目指すも、現役・1浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東京大学(文科2類)合格を果たす。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国6つの高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約10000人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。著書は『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(以上、東洋経済新報社)ほか多数。日曜劇場ドラマ「ドラゴン桜」脚本監修。




 


  • 書名 それでも僕は東大に合格したかった
  • 監修・編集・著者名西岡 壱誠 著
  • 出版社名新潮社
  • 出版年月日2022年9月22日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数四六判変型・319ページ
  • ISBN9784103547716

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