2019年7月に刊行されて累計78万部のベストセラーになった『ケーキの切れない非行少年たち』。『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2』に続くシリーズ第3弾は小説だ。
2022年9月20日『ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ』(新潮社)が発売された。
本書は、『ケーキの切れない非行少年たち』の世界を著者自ら小説化したもの。舞台は、要鹿乃原(いるかのばら)少年院という架空の少年院だ。医局から派遣されて5年になる児童精神科医、六麦克彦の目を通して、現実に起きている出来事を匿名化して紹介していく。
少年院出院後に殺人事件を犯した元少年、妊娠8か月で女子少年院に入院した15歳の少女、自宅放火により隣家の女性を焼死させてしまった14歳の少年、幼女に対する強制わいせつ事件を起こした14歳の少年が登場する。
著者によると、刑法犯の数は減っているが再犯率は上がっているという。本書で描くのは、追い詰められていく「恵まれない犯罪者」の姿だ。少年院に堕ちてきた加害者ながら、あらゆる意味で恵まれず、本来ならば保護されてしかるべき「被害者」と言わざるを得ない少年少女たち――。厳しい話が多くなるテーマだが、更生のためのノウハウやきっかけが紹介されている。
非行少年を取り巻く理不尽な現実が専門家によってリアルに描かれている。『ケーキの切れない非行少年たち』で衝撃を受けた方は、こちらもぜひ。
■宮口幸治さんプロフィール
立命館大学大学院人間科学研究科教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務の後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務。2016年より現職。一般社団法人日本COG-TR学界代表理事。医学博士、臨床心理士。
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