累計発行部数120万部のベストセラー、『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)。その著者であり医学博士・臨床心理士の宮口幸治さんは、発達障害・知的障害をもつ子どもや、生きづらさを感じる子どもの支援に取り組んでいる。
宮口さんの著書『生きづらい子を諦めない マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち3』(扶桑社)は、生きづらい子どもたちが生きやすくなる実践的な教育法を、マンガでわかりやすく紹介する本。今回でシリーズ第3巻だ。
「キレやすい」「ものごとを柔軟に考えられない」「集中力がない」といった傾向をもち、学校や日常生活で"うまくいかない"子どもたち。生きづらさを感じている子どものなかには、発達障害や知的障害をもつ子のほかに、IQ69以下の知的障害には該当しないがIQ70~84で一定の支援が必要な「境界知能」や、何かしらの課題があるがはっきりした原因や状態がわかりにくい「グレーゾーン」と位置づけられる子どもたちもいる。
「境界知能」に着目すると、その割合は日本人の7人に1人。1クラスが35人であれば、そのなかに約5人いる計算になる。学校や日常生活で周りについていくのが大変な子どもたちは、決して珍しい存在ではなく、ごく当たり前にいるのだ。
生きづらい子どもたちを、いかに生きやすく支援するか。本書では特に、非行少年を支援する少年院教育にクローズアップし、現場のリアルを伝えている。非行少年に限らず、あらゆる生きづらい子どもたちへの支援の参考になるはずだ。
■宮口幸治(みやぐち・こうじ)さんプロフィール
立命館大学教授、(一社)日本COG-TR 学会代表理事。京都大学工学部を卒業後、建設コンサルタント会社に勤務。その後、神戸大学医学部を卒業し、児童精神科医として精神科病院や医療少年院、女子少年院などに勤務。医学博士、臨床心理士。2016年より現職。著書に、2020年度の新書部門ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)などがある。
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