あなたは、「脱北YouTuber」をご存じだろうか。
キム・ヨセフさんは北朝鮮から脱出して現在は日本に住み、YouTubeチャンネル「脱北者が語る北朝鮮」で北朝鮮の情報を発信している。キムさんは8月、著書『僕は「脱北YouTuber」 北朝鮮から命がけで日本に来た男』(光文社)を発売した。キムさんはどれほど壮絶な体験を経て日本へやってきたのか、そして私たちに伝えたいこととは。
はじめまして。
僕は、北朝鮮から来たキムと申します。
18歳のときに脱北を試み、一度目は失敗して留置所に入れられたものの、23歳、二度目の脱北で韓国へ。そこから日本に来て、もう10年目になります。
(「はじめに」より)
当初は日本でひっそりと生きていくつもりだったというキムさん。彼がYouTubeを始めるきっかけとなったのは、日本でも大ブームとなった韓国ドラマ『愛の不時着』だ。軍事境界線を間違えて越えて北側に入ってきてしまった韓国の財閥令嬢と、朝鮮人民軍の将校が恋に落ちる......というストーリーだったが、ドラマのファンがイケメン将校に憧れて「北朝鮮に行きたい」などと言っているのを見て、危機感をおぼえたのだという。
僕が生まれ育った北朝鮮は到底、ドラマで描かれたような場所ではありません。そこで、北の現実を身をもって知る人間として、世の中に真実を伝えるべきだと思ったのです。
(「はじめに」より)
10歳で母・姉3人と死別、父と離別し、弟と路上生活を始めたときのこと。冬はマイナス26度にもなり、「息をすることだけが自由だった」という留置所生活。ほか、想像を絶する証言の数々。北朝鮮では小学校さえ卒業を断念したキムさんが、猛勉強した日本語で生々しい体験を語る。脱北者の命をかけた貴重なメッセージが、ぜひ広く知られてほしい。
■キム・ヨセフさん
1985年、朝鮮民主主義人民共和国の北東部・咸鏡南道に生まれる。10歳のときに母、姉3人と死別、父と離別。小学校をやめ、弟と路上生活を始める。11歳で弟と生き別れ、祖父母の家に身を寄せる。18歳で一度目の脱北を試みるも失敗し、白頭山のふもとにある留置所に送られる。23歳で二度目の脱北を試み、豆満江を越え中国へ。ベトナム、カンボジアを経て24歳で韓国へ入国。28歳で日本に語学留学し、大学を卒業したのちに会社員の仕事のかたわら、YouTubeチャンネル『脱北者が語る北朝鮮』を開設。北朝鮮に関する動画を発信し続けている。
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