2022年2月24日。ロシアが攻めてきた日に、人々の日常はガラリと変わった。キーウ、ハルキウ、マウリポリなど戦禍のウクライナに暮らしている人や、故郷に思いをよせる日本在住のウクライナ人など、19歳から58歳までの24人の日記を収録した書籍が、今月28日に刊行される。
『ウクライナ戦争日記』(左右社)には、報道では伝えきれない切実な思いが詰め込まれている。日記を書いたのは、特別な人々ではない。私たちと同じように平凡で、穏やかな暮らしをしていた市井の人々だ。
日記の一部を紹介しよう。
●ハルキウから激戦地マリウポリへ......たったひとりで乗り込んだ41歳の女性
やがて、マングーシュ村にある巨大な軍事拠点に辿り着いた。そこは、以前警察署だった敷地につくられた、でかでかとしたロシアの検問所だった。マシンガンを持った男が私を引きとめ、書類と車両証明書を取り上げると、「車を置いて行くなら見逃してやる」と言い放った。
●ウクライナ南部の都市メリトポリにて......ロシア兵に街が占領された34歳の女性
2月26日 メリトポリがすでに占領されていると知った日、私と母は床に顔をつけ、机の下に息を潜めて隠れていた――そう、ロシア軍の「鉄砲隊」から。銃声が聞こえた。最初は遠くから聞こえるだけだったが、だんだん近くなってきた。
●戦禍の地マリウポリにて......ウクライナ鉄道の職員
一晩中爆撃されている!最初の爆撃が夜の8時半にあってから、ずっと続いているのだ。外はマイナス9度、室内はプラス9度だ。ついに今日で水が底をついた。街はこの一週間、水、電気、電波、そして暖房もない。
●ハルキウで爆撃に......ロシアに姉がいる58歳の男性
私にはロシアに住む双子の姉がいる。戦争が始まったときに、姉に写真を送って「こんなことが起こっているんだ、見て」と伝えた。だが彼女は、「これは嘘よ」と答えた。ロケットが私たちの地域を攻撃し始めても、彼女は電話で「ロシア軍は軍事施設にしか発砲していないわ」と言った。元気いっぱいの幸福な声で、「私たちがあなたたちを自由にするよ!」と言い放ったのだ。
美容室の経営者に法律事務所の副長官、鉄道会社の職員、劇作家、脚本講師、大学教授、清掃員、陶芸家、IT企業のマーケター......。さまざまな職業の人々の平和な日々が、戦争によって突然奪われてしまった。
淡々と書かれているからこそ、戦争のむごさ、恐ろしさが伝わってくる。ウクライナの市井の人々による、貴重な記録。
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