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上から唾が...! ryuchellを苦しめた中学時代の「カースト社会」

AERA(アエラ)2022年9月5日号

 8月29日発売の「AERA(アエラ)2022年9月5日号」(朝日新聞出版)の名物連載「現代の肖像」には、タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが登場。本人や身近な人々への取材で、その生き方に迫っている。

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ryuchellを苦しめた沖縄ヤンキー社会

 ryuchellさんは1995年、宜野湾市で生まれた。5人兄弟の末っ子で、幼い頃に両親が離婚し、母子家庭で育った。ryuchellさん曰く、生まれ故郷である沖縄中部は「多様性が根付いた土地」で、周りの男の子とは趣味が違うryuchellさんものびのびと自分の好きなものを貫けたという。

「中部は貧富の差も大きくて、小学生から新聞配達をしたり、中学生から路上でアイスクリン売りをしたりするのが当たり前。僕だけじゃなくみんな『修羅くぐってる』んです。いろんな人を見るなかで多様な考え方になるし、自立心も強くなる」(ryuchellさん)

 ところが、地元の中学に上がると状況は一変する。沖縄の中学校はヤンキーがトップに君臨するカースト社会で、「目立ったらアウト」な世界。入学早々、上の階から新入生めがけて唾が降ってくるような有様だったという。その時に上を見上げた友人は即、呼び出されてボコボコにされた。

 ryuchellさん自身も、目を付けられないように個性を押し殺さなければならなかった。ファッションはもちろん、話し方や好きなものが女の子っぽいということを必死に隠して、ヤンキー友達とほどよく付き合い、自分を偽った。大好きだった、ジャスティン・ビーバーやブリトニー・スピアーズ、ドラマ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」の話はできなくなった。

「自分の好きなものを我慢するだけじゃなく、自分を捨てていく作業だった。それは、自分が弱いからなんですけど」(ryuchellさん)

 そんな鬱屈とした中学時代。外では見せられない自分を発散しようと、ツイッターの鍵アカウントに自撮り写真をアップしはじめた。メイクも、この頃にはじめた。そうして過ごすうちに、もう自分を偽りたくない、自由に振る舞いたいという気持ちが高まっていった。

 この自分を殺した3年間が、その後のryuchellさんの人生を決定づけたという。3年を耐えしのいだ後、進学先に選んだのは、地元の友達もいない学区外の県立北中城高校。実際、そこにはパラダイスのような毎日が待っていた――。

 記事では、「可愛い!」と男女から注目の的になったという高校時代のエピソードや、所持金6万円での上京、パートナーとなったpekoさんとの出会いなど、ryuchellさんの幼少期から今に至るまでを、同級生や仕事の関係者にも丹念に取材して描いている。

相談しても「おうちで解決してね」救われぬ宗教2世

 巻頭特集は「旧統一教会と政治家」。宗教2世がどんな苦悩を抱えてきたかを取材した「宗教2世には元の自分がない」では、相談窓口すら用意されていない宗教2世の苦しい状況が報告されている。

 自身も「エホバの証人」の2世で、オンラインで宗教2世の自助グループを主宰しているという京都府立大学文学部の横道誠准教授によれば、宗教2世たちがいくら自分の苦しみを訴えても、「宗教やカルトが絡むとわかった途端、無視されてしまう」場合が多いという。

「子どもの虐待ホットラインなど、親子関係の悩みを受け付けている窓口に相談しても『宗教のことは、おうちで解決してね』と言われ、助けてもらえなかった事例は多い」(横道准教授)

 さらに、被害者救済に取り組んできた紀藤正樹弁護士と、元信者でもある仲正昌樹・金沢大教授の対談も掲載。紀藤弁護士が、教団との関係があったことを認めている自民党の萩生田光一政調会長について「反社会性に対する認識が甘いのか、反社会性をわかっているのに関わっていたのか、いずれにしても説明が不十分」と断じる一方、仲正教授は「信奉者の立場から見れば、議員はおそらく道具に過ぎない」と、教団の論理を分析している。

 そのほか、特に自民党と結びついた背景に、教団信者が持つ随一の選挙パワーがあったことを解析する記事や、メディアがこれまでこの問題をどう報じてきたかを描く記事も。この問題について多角的に考える一助にできる特集となっている。

 今号では、以下の記事も掲載されている。

トランプ捜査の行方 「第2のウォーターゲート事件」になる?
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画像提供:朝日新聞出版
  • 書名 AERA(アエラ)2022年9月5日号
  • 出版社名朝日新聞出版
  • 出版年月日2022年8月29日
  • 定価440円(税込)

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