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樹木希林が亡くなる2週間前につぶやいた「死なないで」...娘が受け継ぐ、子どもたちへのメッセージ。

9月1日 母からのバトン

   「死なないで、死なないで......。今日は、大勢の子どもたちが自殺してしまう日なの」

   2018年9月15日、75歳で亡くなった樹木希林さん。亡くなる2週間前の9月1日、病室の窓の外に向かって、言葉をつまらせながら、繰り返しつぶやいたという。

 夏休み明けのこの日、学校に行きたくないと思い悩む子どもたちが、自ら命を絶ってしまう。樹木さんは生前、不登校の子どもたちと語り合い、その事実を知っていた。


   2022年8月10日に『9月1日 母からのバトン』(ポプラ新書)が刊行された。樹木さんが遺した言葉と、それを受けて娘の内田也哉子さんが4名と対話して紡ぎ出した言葉をまとめたもの。

   全国の小中学校における不登校の子どもの数は、8年連続で増加。2020年度は過去最多の19万6127人となり、中学生の24人に1人、小学生の100人に1人の割合に。また、2020年度の子どもの自殺は、はじめて400名を超えたという。

■内田也哉子さんメッセージ

「もったいない、あまりにも命がもったいない......」この旅のはじまりとなった、母の言葉です。私が彼女の死から学んだのは、人の命はその長さにかかわらず、最後までまっとうして初めて、生まれてきたことの所以がわかるかもしれないということ。そして、人は一度死んでしまったら、もう二度と蘇らないということ。きっと、母が意図した「もったいない」は、「せっかく生まれたのなら、無理して急がず、最後に自分がどんな轍(わだち)を残せたり、どんな景色を見られるのか、それを楽しみにしていきましょうよ」そんなことではないか、と今なら共に感じられるのです。

   今年も9月1日が近づいてくる。「母が遺し、娘が受け継ぐ、生きづらさを抱える子どもたちへのメッセージ」。自分に何ができるのか、あらためて考えるきっかけになる1冊。

   本書は、2019年にポプラ社より刊行された『9月1日 母からのバトン』を新書化したもの。

■目次

第一部 樹木希林が語ったこと
「難の多い人生は、ありがたい」(インタビュー)
「私の中の当たり前」(トークセッション)
第二部 内田也哉子が考えたこと
対話1 石井志昂さん(『不登校新聞』編集長)
樹木希林の最期、9月1日への想い
対話2 Eさん(20歳女性・不登校経験者)
「あなたのその苦しみは、正当なんだよ」
対話3 志村季世恵さん(バースセラピスト)
"底"にいたときの感覚を忘れないで
対話4 ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)
その指を、なんのために使うのか
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樹木希林さん(全国不登校新聞社)
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内田也哉子さん(田中達晃/Pash)

■樹木希林さんプロフィール
   1943年、東京生まれ。文学座の第1期生となり、テレビドラマ「七人の孫」で森繁久彌に才能を見出される。61歳で乳がんにかかり、70歳の時に全身がんであることを公表した。夫である内田裕也との間に、文筆家の内田也哉子がいる。映画、テレビ、CMなど幅広く出演し、紫綬褒章、旭日小綬章をはじめ多くの賞を受賞。2018年9月15日に逝去、享年75歳。

■内田也哉子さんプロフィール
 1976年、東京生まれ。エッセイ執筆を中心に、翻訳、作詞、バンド活動「sighboat」、ナレーションなど、言葉と音の世界に携わる。三児の母。著書に『新装版 ペーパームービー』『会見記』『BROOCH』、中野信子との共著に『なんで家族を続けるの?』、翻訳絵本に『たいせつなこと』『ママン 世界中の母のきもち』など。


※画像提供:ポプラ社


  • 書名 9月1日 母からのバトン
  • 監修・編集・著者名樹木 希林 著、内田 也哉子 著
  • 出版社名ポプラ社
  • 出版年月日2022年8月10日
  • 定価1,012円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・286ページ
  • ISBN9784591174630

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