サラリーマン川柳、シルバー川柳、毎年さまざまな川柳のコンテストが盛り上がるが、「刑務所(ムショ)川柳」なんてものもある。
『刑務所(ムショ)川柳 獄中(ゴク)で泣くヤツ、笑うヤツ』(駒草出版)は、受刑者たちから投稿された川柳を、ぼったくりで服役経験のある作家・影野臣直さんが選んでまとめた本だ。
それでは、塀の中の日常をご覧あれ。
カッコ悪
夏の舎房着
半ズボン
(PN: Tiger&Dragon 長野刑務所)
ちょうど今の季節、受刑者たちは半袖短パン丸坊主で、「まるで裸の大将の山下清さんみたいなんですよ(笑)」。「カッコ悪」の一言で、だいたいどんな風貌なのか想像がつく気がする。
刑務官
紅、香水は
嫌がらせ
(PN: ハープシコード 元栃木刑務所)
女性受刑者はもちろん化粧禁止、常時スッピン。ところが女性刑務官の中には、ばっちりメイクを決めてくる人もいるようで......。
ムショの中
見栄と虚勢と
嘘つきと
(PN: 歌舞伎龍 徳島刑務所)
問題児
雑居入れるな
独居行け!
(PN: ハナミズキ 笠松刑務所)
帰りたい
嗚呼帰りたい
帰りたい
(PN: H・カズ 元和歌山刑務所)
笑えて、呆れて、しかしどこか悲哀があるムショ川柳。刑務所の中をよく知っている影野さんによる解説も、詳しくわかりやすい。行ったことがない刑務所の中の雰囲気を、川柳から感じ取ることができるかも。
【目次】
まえがき
第一章:うつろう季節の中で
第二章:出所を待ちこがれる日々
第三章:やっぱり......懲りない面々
第四章:R-18!これより立ち入り禁止句域
第五章:同房相哀れむ----刑務所ライフ----
第六章:保護司の思い
第七章:臭い飯? それでも楽しい食事(めし)の時間(とき)
第八章:やっと、外には出てみたけれど......
第九章:切ない男たち、女たちの物語
あとがき
■影野臣直(かげの・とみなお)さん
1959年 大阪市生まれ。大学在学中よりアングラ社会に身を投じ、歌舞伎町最大のキャッチバー・チェーン「Kグループ」を率いる。1999年に「梅酒1杯 15万円」事件で逮捕・服役。2002年に出所し、作家活動を開始する。裏社会の幅広い人脈をいかし、漫画原作やVシネマの脚本・出演などもこなす。『歌舞伎町ネゴシエーター』『刑務所(ムショ)で泣くヤツ、笑うヤツ』『歌舞伎町ぼったくり懺悔録』(三冊とも河出書房新社)、『サラリーマン、刑務所に行く』(三栄書房)、『新宿歌舞伎町』(れんが書房新社)などの著作がある。
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