「えくぼの~~秘密あげ~た~い~わ~」と、デビュー曲「裸足の季節」を伸びやかな声で歌い上げ、一躍スターへの道を駆け上がった松田聖子さん。40周年を越えた今もなお、輝き続けている。
「松田聖子」を見出し、支え続けたのがプロデューサーの若松宗雄さんだ。2022年7月19日、若松さんの著書、『松田聖子の誕生』(新潮社)が発売される。
「全身全霊にショックを受けた。福岡県に住む16歳の歌声はどこまでも清々しく、のびのびとして力強かった。明るさとしなやかさと、ある種の知性を兼ね備えた唯一無二の響き」
「すごい声を見つけてしまった」
1978年5月のこと、CBS・ソニーで新米プロデューサーとして働いていた若松さんは、松田聖子(当時、蒲池法子)さんの声に衝撃を受ける。オーディション「ミスセブンティーン・コンテスト」九州大会のカセットテープを再生し続け、スターの原石を探しているときのことだった。
ところが、デビューにはハードルが幾重にも立ちはだかる。聖子さんの父親の強い反対、新米プロデューサーである若松さんの孤立無援、難航するプロダクション探し、決まらないデビュー日......。2人はどのように乗り越えていったのか。
本書では、本邦初公開となるカセットテープの存在に加え、上京前の聖子さんから届いた6通の手紙やデビュー前夜の秘話も明かされる。巻末には、若松さんがプロデュースした1stアルバム『SQUALL』から15thアルバム『Citron』まで、その他シングルの解説や楽曲制作のエピソードも記されている。
■目次
前書
序章 運命のカセットテープ
歌声との出会い/ ミスセブンティーン・コンテスト
第1章 父親の許しをもらうまで
反応の薄い同僚たち/ 企画制作6部の新設/ 「はい蒲池です。法子です」/ 紺色のワンピースで/ 驚きつつ見守る母親/ 1978年、夏休みに上京/ 「許すつもりは一切ありません」/ 西鉄グランドホテルで父親と対面/ 突然、聖子から届いた手紙/ 女性スタッフに頼んで電話/ モノレールで語った決意/ 「娘がどうにもならないんだ」
第2章 決して偶然でなかった出逢い
夢に見たCBS・ソニーへ/ 群馬の「おじいちゃん」/ 最初の就職先は観光会社/ キングレコードの制作部へ/ 東芝レコードの準専属歌手だった兄/ 営業担当としての経験/ 直感から『霧の中の二人』がヒット/ 歌の心にも触れた広島の日々/ 杉良太郎さんがくれた言葉/ 初担当はキャンディーズ/ 産みの苦しみ
第3章 難航するプロダクション探し
「ああいう子は売れないんだよ」/ 歌謡界の中心に山口百恵/ 聖子からの4通目の紙/ サンミュージック・相澤社長に懇願/ なんとしてもデビューさせる/ 少女らしい清廉な文字/ 多くの人に愛される資質
第4章 デビューのための上京
土砂降りの福岡空港/ 静かに伝う涙/ 堀越学園への編入/ 増え始めた業界内のファン/ レコードデビューと「もう一人の新人」/ 運を引き寄せる力/ 『裸足の季節』はまさに裸足のままで/ 小田裕一郎さんの自宅兼オフィスへ/ CM撮影前の「エクボ」事件/ ガラスブースの向こうの涙/ 記念すべきデビュー日/ 初めての歌番組でのこと/ 『夜のヒットスタジオ』での進化
第5章 スターへの階段
『青い珊瑚礁』がひらいた新時代/ 聖子の歌唱法/ 発売から2か月かけて頂点へ/ 田原俊彦くんとの共演/ 自らプロデュースする力/ アイドルとして異例の売れ行き/ クレジット表記の狙い/ 日本の音楽の実験場に
第6章 松田聖子は輝き続ける
楽曲制作のこだわり/ クリエイターと築いた松田聖子の世界/ 大滝詠一さんとの出会い/ 映画、海外レコーディングで放つ輝き/ 誰にも同じように接していくこと/ ミキシングとマスタリング
アルバムとシングルについて
1stTアルバム『SQUALL』(1980年8月1日発売)
2ndアルバム『North Wind』(1980年12月1日発売)
3rdアルバム『Silhouette』(1981年5月21日発売)
4thアルバム『風立ちぬ』(1981年10月21日発売)
5thアルバム『Pineapple』(1982年5月21日発売)
6thアルバム『Candy』(1982年11月10日発売)
7thアルバム『ユートピア』(1983年6月1日発売)
シングル『ガラスの林檎』『SWEET MEMORIES』(1983年8月1日発売)
8thアルバム『Canary』(1983年12月10日発売)
9thアルバム『Tinker Bell』(1984年6月10日発売)
10thアルバム『Windy Shadow』(1984年12月8日発売)
11thアルバム『The 9th WAVE』(1985年6月5日発売)
12thアルバム『SOUND OF MY HEART』(1985年8月15日発売)
13thアルバム『Supreme』(1986年6月1日発売)
14thアルバム『Strawberry Time』(1987年5月16日発売)
15thアルバム『Citron』(1988年5月11日発売)
後書
聖子ちゃんカットを真似していた世代も、その子ども世代も、どの時代からのファンが読んでも興味深い、ここでしか読めない情報が詰まった一冊。
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