「春よ、来い」、「あの日にかえりたい」、「DESTINY」......たくさんの人の青春、そして人生を彩ってきた、「ユーミン」こと松任谷由実さんの名曲の数々。
ユーミンの名曲たちが、6人の女性作家によって小説になった。松任谷由実さんデビュー50周年記念アンソロジー『Yuming Tribute Stories』(新潮社)が、2022年6月27日に新潮文庫オリジナルとして発売される。
アンソロジーに参加したのは、小池真理子さん、桐野夏生さん、江國香織さん、綿矢りささん、柚木麻子さん、川上弘美さん。さらに巻末には、『ユーミンの罪』(講談社)の著者でもあるエッセイストの酒井順子さんの解説が収録されている。
運命と信じた恋、忘れられない風景、胸に残る後悔。ユーミンの歌を聴くと、誰の心にも大切な思い出がよみがえる。6人の作家たちは、ユーミンの歌に込められた記憶や想いをどんな物語に紡いだのだろうか。刊行が待ちきれない。
【収録作品】
「あの日にかえりたい」小池真理子
......いまも私の心は学生時代を過ごしたあの場所にいる。
「DESTINY」桐野夏生
......大学職員の独身男子が心奪われた「運命の人」とは?
「夕涼み」江國香織
......かつて暮らしたポルトガルのあの光景を忘れられない。
「青春のリグレット」綿矢りさ
......離婚直前の私の心を占めるのは元彼への悔恨だった。
「冬の終り」柚木麻子
......友情とも憐憫ともつかない同僚への感情の行方は?
「春よ、来い」川上弘美
......一度だけかなえられる能力をもつ人々が願ったもの。
解説=酒井順子 カバーデザイン=森本千絵
■著者紹介
・小池真理子(Koike Mariko)
1952年東京生まれ。1989年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)、1995年『恋』で直木賞を受賞。以後、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞などを受賞。近著に『神よ憐れみたまえ』『月夜の森の梟』がある。
・桐野夏生(Kirino Natsuo)
1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1997年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頰』で直木賞を受賞。以後、柴田錬三郎賞、読売文学賞などを受賞。日本ペンクラブ会長。
・江國香織(Ekuni Kaori)
1964年東京生まれ。1987年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、1989年「409ラドクリフ」でフェミナ賞を受賞。2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。山本周五郎賞、谷崎潤一郎賞、川端康成賞も受賞。
・綿矢りさ(Wataya Risa)
1984年京都生まれ。2001年『インストール』で文藝賞受賞。大学在学中の2004年に『蹴りたい背中』で芥川賞受賞。以後、大江健三郎賞、島清恋愛文学賞を受賞。主な著書に『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』などがある。
・柚木麻子(Yuzuki Asako)
1981年東京生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年に『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞している。
・川上弘美(Kawakami Hiromi)
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第一回パスカル短篇文学新人賞を受賞。1996年には「蛇を踏む」で芥川賞を受賞。以後、ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞、谷崎潤一郎賞、読売文学賞、泉鏡花文学賞などを受賞。
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