今もっとも取り上げられる子どもの社会問題の一つに、「発達障害」がある。2020年1月に博報堂がおこなった調査では、13262人の保護者の回答のうち、0~22 歳の子で「ASD(自閉症スペクトラム) と診断された子」は 2.3%、診断は受けていないがASDの疑いがある「グレーゾーンの子」は5.4%だった。合計すると、約13人に1人が発達障害またはグレーゾーンということになる。
この調査で、「ASD と診断された子」の保護者のうち、70%近くが子育てに対して「正解がわからない」「不安がある」と回答した。ASDでない子の保護者ではそれぞれ48.1%、32.8%で、「ASDと診断された子」とそうでない子の保護者の間には大きな差があった。
また、「ASD と診断された子」の保護者の過半数(53.4%)が、ASD の子を育てる上で、周囲の理解や支援が「とても必要」と回答した。一方で、実際の子育てにおいて周囲の理解や支援を得られているかどうかでは、「とてもそう思う」と回答した人は 17.4%と低い割合にとどまった。発達障害をもつ子の保護者に限らず、子どもやその保護者と関わる人なら誰でも、発達障害について理解を深める必要があるということだ。
(データは博報堂 Pechat 開発チーム・博報堂こそだて家族研究所・LITALICO発達ナビ「ASD と子育て実態調査」より)
『親子で学ぶ発達障害』(パレードブックス)は、まだまだ理解が進んでいない発達障害をもつ子どもの心理を、歌詞・イラスト・親子の会話・解説で表現した本だ。主に6つの事例をもとに、子どもの日常の行動や、周りに誤解されやすい心理、あたたかく守るにはどうしたらよいかなど、発達障害を理解する上で重要なことが詰まっている。
本書は「親子で学べる分かりやすさ」がコンセプト。たとえば、言葉では理解ができない子どものために、心の状態を天気にたとえてイラストにし、感覚的にとらえられるようにするなどの工夫がされている。また、保護者向けの解説では、発達障害をもつ子どもに寄り添うための言葉の言い換え例や、工夫を加えた遊び方を紹介。親子が一緒に読んで、お互いを理解し合える本だ。
約13人に1人という割合でありながら、理解が進んでいない子どもの発達障害。これから多くの人が発達障害について知っていき、困難を抱える子どもたちが生きやすい社会になるといい。
〈著者・高橋美恵子さんのメッセージ〉
この本は、発達障害を抱えている子どもたちの苦しさを6場面から理解するとともに、その対応策を場面ごとにヒントとして載せてありますので即実践できる内容となっています。その実践を通すことによって親子での笑顔が増え、関わる方々の気づきにつながることと思います。親子はもちろん、子どもたちに関わる先生方にぜひ読んでいただきたいです。
この本を活用して、社会の常識にとらわれず子どもの繊細な心に気づけるお父さん・お母さんが増えてほしい、社会から誤解されている現状を乗り越えていく親子が1組でも多くなってほしい、そして親子で流した多くの涙が満面の笑顔に変わることを心から願っています。
■高橋美恵子(たかはし・みえこ)さんプロフィール
特定非営利活動法人基本塾、理事長。小学校教論を経て特別支援教育の道へ。小学校新規採用者指導教員や教育委員会指導課(特別支援事業)巡回相談員を行いながら、「上級教育カウンセラー」、「学校心理士」、「心理検査士」、「特別支援教育士」などの資格を取得。2015年12月に特定非営利活動法人基本塾を設立。現在では6事業所を抱え、東金地区を中心に親子をサポートする活動を行っている。
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