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NTTはGAFAと戦えるか。民営分割後の経営改革に迫る

NTT 2030年世界戦略

 NTTはその名を知らない人がいない日本を代表する巨大企業である。しかし、あまりに大きく、多岐にわたるのでその実像はほとんど理解されていない。電話会社から進化してネットの世界でも重要な役割を担っているらしいが、米国のGAFAのような派手な印象がない。これが日本人の平均的なNTT像である。

 本書、『NTT 2030年世界戦略 「IOWN」で挑むゲームチェンジ』(日本経済新聞出版)では、「ゲームチェンジ」に向けたNTTの経営大改革を徹底検証している。

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『NTT 2030年世界戦略 「IOWN」で挑むゲームチェンジ』(日本経済新聞出版)

 著者の関口和一氏は日経新聞社出身、ネットの創成期から日米で取材してきたIT専門ジャーナリスト。GAFAの売上高は、20年前には全部合わせてもNTTグループの1割しかなかったのに、いまはNTTの10倍になっている。著者はその原因の一つがNTTの民営、分割に始まると見る。新しい事業者の参入者を促したのはよかったが、NTT自体はインターネットの台頭を十分に理解できず、通信市場のグローバル化に対応できなかった。

 著者が代表取締役を務めるMM総研はICT市場の調査・コンサルティング会社。そのスタッフとNTTグループを取材、グループ各社の社長らにインタビューして、GAFAに迫る戦略はあるかを探った。

 関口分析の内容を拾っていくと、〇ナンバーワン目指すシナリオ〇グローバル持ち株会社を新設、司令塔とする〇宇宙にデータセンターを〇固定電話とスマホの総合サービスを狙う〇電電時代の友、NEC、富士通と組む〇女性管理者倍増計画など。

 この課題はNTTだけでは解決できないと、国の政策の在り方も問うている。NTT民営分割化がコンテンツ市場での米国勢の台頭を許したのではないか。携帯料金の官製値下げという電波行政の是非、GAFA先行を許した情報通信政策の問題点も探っている。

 そして、NTTグループはこの20年間、足踏みをしていたと指摘する。そこからの脱皮、世界戦略への挑戦が必要で、澤田純社長の強いリーダシップに期待する。また、世界的に見るとNTTのブランド認知は高いが、事業内容の認識は薄い。

 GAFAが強いのはコンテンツによる支配力だ。この問題にどう立ち向かうかがNTTの課題だとみる。

 電電公社時代以来、NTTグループは通信のあらゆる分野で先進的な研究開発を担ってきた。コンテンツ領域でも、検索エンジンでは先行していたし、ネット販売、画像圧縮などについても研究は進んでいた。しかし、その研究成果はビジネスに展開されなかった。日本のメディアや専門家はGAFAの動きに目を奪われてきた。改めて日本の動きにも目を向けたいと、関口氏は自戒を込めて書いている。



  • 書名 NTT 2030年世界戦略
  • サブタイトル「IOWN」で挑むゲームチェンジ
  • 監修・編集・著者名関口和一 編著/MM総研 編著
  • 出版社名日経BP 日本経済新聞出版本部
  • 定価1,980円(税込)
  • 判型・ページ数380ページ
  • ISBN9784532324452

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