子どもがスマホを長時間いじっていると、イライラ。つい「いい加減にスマホやめなさい!」「ゲームばっかり!」と小言が増える。スマホが一概に悪ではないとわかっていても、部屋をのぞくたびにスマホをいじっている姿を見ると、心配になってしまう。
『子どものスマホ問題はルール決めで解決します』(主婦の友社)はそんな悩みを持つ保護者の必読書。著者は、東洋経済オンラインの教育コラムが人気の石田勝紀さんだ。
現在、デジタルメディアは子どもたちの間で急速に普及している。インターネットの利用率は、小学生で86.3%、中学生で95.1%、高校生は99.1%(令和元年度 内閣府調査より)だ。中高生でインターネットを使わない子はほとんどいないと考えられる。
また、初めてスマホを持つ時期は、中学入学前の冬から春が多い。スマホ各社がキャンペーンを打ち出す2~3月に多くなる。
石田さんは、子どものスマホ問題について、次のように指摘する。
「もちろん、スマホ漬け、ゲーム漬けはよくありませんが、子どもたちの学力をみてみると、スマホが誕生する前からそんなに変わっていないんです。悩みの本質は、スマホやゲームそのものではなく、"スマホをやっているから勉強しないのでは?""ゲーム漬けだと脳がおかしくなるのでは?"などという親側の考え方や捉え方の問題というケースも多くあります」
石田さんは、「家庭内でのスマホ使用ルールの決め方が甘い」と常々感じているという。例えば、使用は22時までのルールのはずが、「オンラインで友達とゲームをしているから」とズルズル延長してしまうというように。守られないルールになってしまい、親もイライラしてしまう。
本書では、スマホのルール決めのノウハウを詳しく紹介していく。子どもファーストの話し合いをすることや、様々なケースの想定などを効果的に行うことが必要だ。親からの意見を一方的に押し付けるとルールが崩れてしまうので、双方納得のいく話し合いができると良さそう。
具体的なお悩みに石田さんが回答する形式で、ルール決めの方法を指南する。
たとえば、中1女子の母親のケース。小4からスマホを持たせ、当初はルールを設けなくても特に問題はなかったが、最近は深夜に動画やゲームに夢中になるように。使用制限を設定したら、なぜいきなり制限するのかと怒り出し、しまいには裏技を使い勝手に制限をはずしていたことが発覚。どうすればよいのかと悩む母親に、石田さんは「ルール決めの7カ条」をアドバイスする。ここでは、そのうちの5つを紹介しよう。
①話し合いは子どもファースト。親の意見の前にまず子どもの意見を聞く
一方的に命令されたことに素直に従う子どもはいない。親としては受け入れがたくても、まずは子どもの希望、子どもの気持ちを聞く。「そんなのダメ!」といきなり拒絶するのもNG。
②子どもの意見をきいたうえで、親の考えを説明する
親が心配するのは「生活リズムが乱れる」「勉強しなくなる」「犯罪に巻き込まれる可能性」。そうならないためにどうするか、たとえば制限時間を設け、何時までならOKとするかを、あくまでも子どもとの話し合いで決める。
③ルールを守らなかった場合のペナルティーを決める
話し合って決めたルールでも、ほとんどの場合は破られる。その時のためのペナルティーを子ども自身に提案させて決めておく。
④さまざまなケースを想定しておく
ペナルティーを実行すると、子どもがキレることも。そこまで想定し、キレたらどうするかまで話し合っておく。ざっくり決めたルールは穴だらけ。想定できるケースは洗い出し、事前に対策を。
⑤ルールやペナルティーが変更できる「付帯条件」をつけておく
ルールが厳しすぎて守れないなど、うまくいかない場合に親も子どもも「不服申し立て」ができる、見直しができる条項をルールに加えておく。
多くの家庭で悩みの種となるスマホの利用方法。親がルールを設けても、守られないのは定石だ。お子さんとの対話の機会とも捉えて、話し合いの場を設けてみてはいかがだろうか。
■石田勝紀(いしだ・かつのり)さんプロフィール
一般社団法人 教育デザインラボ代表理事。1968年横浜生まれ。20歳で学習塾を創業。これまで4000人以上の生徒を直接指導。講演会、セミナーなどを含めると5万人以上に上る。「日本から勉強嫌いな子をひとり残らずなくしたい」という志のもと、 Mama Caféの運営、執筆、講演活動を精力的に行っている。『東洋経済オンライン』 での人気連載の教育コラムは、累計 1.1 億PVを記録している。経営学修士(MBA)、教育学修士。著書は『子どもを叱り続ける人が知らない「5 つの原則」』(ディスカヴァー)、『子どもの自己肯定感を高める10 の魔法のことば』(集英社)など 20 冊以上。
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