オンラインゲーム誘拐、自撮り性被害、不適切動画、闇バイト、SNS特定班......。コロナ禍で子どものSNS犯罪被害、ネット事件が急増しているという。
進学・進級のタイミングで子どもにスマホを持たせるご家庭も多いだろう。でもその前に、親が子どもを守るために読んでおきたい一冊がある。
元捜査一課刑事・デジタル捜査班長の佐々木成三(ささき なるみ)さんの著書『元捜査一課刑事が明かす手口 スマホで子どもが騙される』(青春出版社)は、最新のネット犯罪事例を紹介するとともに、ネットリテラシーやトラブル別の対策を解説した一冊。
「どんなに大人が制限をしたりブロックをしたりしても、最終的に画面をタップして、行動を起こしているのは子ども自身だということを忘れないでください」
警察庁の「2019年の犯罪情勢」によると、SNSが原因で事件に巻き込まれた18歳未満の被害児童数は過去5年間で26.8%増。過去最多の2095人だったそうだ。
SNSを介して被害に遭った子どもに「どうして相手と会ったのか」と理由を聞くと、「金品目的」「優しかった、相談に乗ってくれた」「交遊目的」、ほぼこの3つの回答が返ってくるという。
佐々木さんが痛感しているのは、「被害に遭った子どもやその親は犯罪に遭ってからでないと、ことの重大さに気づかない」「多くの人がスマホの危険性について理解している"つもり"になっている」こと。
たとえば「ダークウェブ(闇サイト)」に到達できれば、拳銃でもなんでも手に入るのだとか。また、「P活(=パパ活)」「PJ(=パパ活希望の女子高生)」「野菜(=大麻)」「裏バイト」などの隠語を使い、ツイッターを介して援助交際、お小遣い稼ぎ、大麻・薬物の取引なども行われているという。
有害サイトをブロックしたり、フィルタリング設定をしたり......。こうした技術的な防犯はもちろん必要。しかし、「親がどんなに対策をしても、100%安心だと言い切れる対策はないと思ってください」としている。
そうなると、親としては子どもをスマホから遠ざけたくなるが、佐々木さんの考え方はその逆だ。
「子どもに早くスマホを持たせて、早くからネットリテラシーを学ぶ機会を増やすことが大切です。私は小学生からスマホを持たせるべきだと思っています」
■目次
プロローグ スマホを「持たせない」から「安全に持たせる」へ
――10歳からのネットリテラシー
第1章 親が知らない! SNSやゲームで起きた恐怖の事件簿
SNSやゲームがらみの誘拐・監禁/闇バイト/不適切写真・動画の投稿/自撮り性被害/SNSへの誹謗中傷
第2章 クイズで学ぶ! スマホに潜むワナと安心安全な使い方
人物像当てクイズ/特定班クイズ/情報セキュリティクイズ/オンラインゲームの注意点クイズ/違法認識クイズ/言葉の選び方クイズ/犯罪隠語クイズ
第3章 スマホが奪う直観力! 子どもを守る「4つの力」の育て方
疑うところから始める/先入観を持たない/コミュニケーションのすれ違いは悪いことではない/答えは1つではないことを教える/「教えない習慣」が自分で考えて動ける子を育てる/毎日、新しい「発見」をする
ここでは「SNSの使い方の基本4原則」を紹介しよう。
■SNSの使い方の基本4原則
1 SNSは将来の自分のために使うもの(誹謗中傷、不適切動画は未来の自分の汚点になる)
2 投稿は友だちだけの限定公開
3 会ってもいない友だちを登録しない
4 いいね!の数・フォロワー数を評価しない
たった一度の不適切動画や投稿、軽い気持ちで送った誹謗中傷コメント......。これらはデジタルタトゥーとして残り、人生を左右することもあるという。確信の持てないものにリツイートしたり、デマを真に受けて拡散したりすることもNG。
「匿名性の高いSNSの場合、どうしても普段よりも大胆になりがちですが、リアルな世界でやってはいけないことは、ネットの世界でもやってはいけません」
特設サイトでは、本書の試し読みができる。どんな手口で誘導され、どんな心理メカニズムで騙されるのか......。子どもにスマホを持たせる前に、本書を読んでおくことをおすすめしたい。
■佐々木成三さんプロフィール
1976年岩手県生まれ。元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。デジタル捜査班の班長として活躍。2017年「事件を取り締まるのではなく、犯罪を生まない環境をつくりたい」との思いから埼玉県警を退職。現在、小中高大学生らが巻き込まれる犯罪を防止するために設立された「一般社団法人スクールポリス」の理事を務める。講演活動、刑事ドラマの監修、テレビ番組のコメンテーターなど、多方面で活動している。
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