ネットやスマホがらみのトラブルに、子供が巻き込まれるケースが増えている。もちろん予想外のことだから、あわてる。本書『ある日突然、普通のママが子どものネットトラブルに青ざめる』(アイエス・エヌ)は、その対策を説いた本だ。「知らないと意外にコワいネットとスマホの落とし穴」というサブタイトルが付いている。
パソコンがネットの中心だった時代は、家の中だからまだ監視がしやすかった。長時間使っていたら、注意もできる。ところがスマホが登場し、「いつでもどこでも」ネット環境につながるようになって、だいぶ事情が変わったといえる。便利さが加速する一方で、子どもが何をどう利用しているのか、親から見えにくくなったのだ。しかもツイッターやLINEなども広がり、様々な機能もあって、ますます不可視の世界が広がる。
こうした時代に親はどう対処したらいいのか。親が多少ネット慣れしているからといって、子どもが同レベルとは限らない。親が余りネットに通じていないとしたら、さらに大変だ。学校では「ネットの使い方」などは教えているようだが、「ネットの危険性」については不十分だ。大半の親や教師に怖さを教えるだけの能力がない。
本書の著者の長谷川陽子さんは情報教育アナリスト。パソコンのインストラクター・講師などを経て、2006 年からは「情報モラル教育」に重点を置き、全国各地の小・中・高の児童・生徒・教職員・PTAなどを対象に、これまで700 校以上で講演・研修をしてきた。
「何気ない書き込みが炎上した」「悪ふざけの延長が警察沙汰に」「ネットに写真をアップされ、不登校になった」
殺人など凶悪事件にまでは至らなくても、ちょっとしたトラブルがしょっちゅう起きている。ネットはいったん公開されると簡単に消せない。長く深く心の傷として残る。ネットの利便性は向上しているが、ほとんど進化していないのが「ネットでトラブルに巻き込まれないための教育」だと著者は力を込める。
ネットで子供たちに人気があるのは、ユーチューブ。多種多様な動画が潜んでいる。いきなり首を切られる動画が出てきたのを見てしまい、ショックを受けて引きこもり状態になった子どもがいるそうだ。被害者になるだけではない。無意識のうちに自分がアップした動画や画像が「著作権の侵害」になる場合もある。子どもの軽い気持ちの書き込みなどの行為が、いじめやプライバシーの侵害、名誉棄損に当たった場合、親はどうするのか。法律違反となると、ごめんなさいでは済まない。損害賠償が追いかけてくる。
このところ類書がいくつか出版されている。子供をネットトラブルに巻き込まれないようにするため、親が事前に勉強しなければならない時代になった。そうした心構えも能力もない親は、子どもに安易にスマホを持たせるべきではないのかもしれない。本書を含めて一冊ぐらいは読んでおいたほうがよさそうだ。
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