毎日毎日、プレゼンに打ち合わせ。仕事に明け暮れて生活も恋も後回しにしてきた、映像プロデューサーの莉恵子。家事と介護とパートに追われ、挙句の果てに、夫の裏切りで住む場所を失った芽依。最悪の状況で救いになったのは、親友だった。
第6回「カクヨムWeb小説コンテスト」キャラクター文芸部門大賞受賞作、コイルさんの『無駄に幸せになるのをやめて、こたつでアイス食べます』(KADOKAWA)が、メディアワークス文庫から刊行された。頑張りすぎてきた2人が、ほどよい距離感の同居生活を通じて、自分サイズの幸せを見つけていく物語だ。
毎日仕事ざんまいで、帰ったら寝るだけの莉恵子。あるプレゼンで、6年間一緒に仕事をした元同僚に裏切られたことが発覚し、意気消沈していた。そこへ、1通のLINEが。夫から離婚を突きつけられ、家から放り出された大親友の芽依だった。両親が離婚して実家もない芽依は、慰謝料の束を持って莉恵子の家へ。
「美味しいもの買おう! 明日一日、美味しいものをダラダラ食べて愚痴ろう」。いつも値下げ品の弁当で食事を済ませていた莉恵子と、丸一日ダラダラできることなどなかった芽依。2人はこたつを囲んで、自分たちなりの幸せを取り戻していく。
「一緒に暮らすなら、一番近くて、一番遠い他人になろうよ。私は芽依と一番の親友だけど、ちゃんと芽依の他人でいたい。芽依と末永く友達でいたいから、そうするの」
無遠慮に頼りすぎたり、境界をあいまいにしたりはしない。でも、相手がつらいときには一緒に泣く友達。心地いい距離感のシスターフッドに、読む人の心も優しく救われていく。2人の同居生活は、憧れの人との恋、若手シンガーとの交流などさまざまな縁をまじえて色づきはじめ、見失っていた未来に光が差し込んでくる。
毎日頑張りすぎなあなたにきっと効く、心の処方箋。今日はちょっと自分を甘やかして、こたつでアイスを食べてみては?
■コイルさんプロフィール
東京在住。映像制作会社勤務。2020年にカクヨムに投稿した『オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!』を「電撃の新文芸」で刊行し、作家デビュー。2021年には、第6回カクヨムWeb小説コンテストに投稿した『無駄に幸せになろうとすると死にたくなるので、こたつでアイス食べます』がキャラクター文芸部門≪大賞≫を受賞し、本書の刊行に至る。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?