「サクラダリセット」シリーズや『いなくなれ、群青』に始まる「階段島」シリーズなどのヒット作を生み出し、支持を集めている河野裕さん。最新作『君の名前の横顔』(ポプラ社)は、血の繋がらない「家族」を描いたファンタジーだ。
本作は、発売前に読書コミュニティサイト「読書メーター」の「読みたい本ランキング」第1位(週間:集計期間2021年10月5日~11日・単行本部門)を獲得。多くの読者に注目されている。
この小説に登場する「家族」を紹介しておこう。愛は、小学生の息子・冬明をもつシングルマザーだ。死んだ冬明の父は、愛と出会う前に離婚歴があり、楓という連れ子がいた。楓は現在大学生。父親を亡くした楓は、義母である愛と弟の冬明を見守りながらも、彼らを「家族」だとは思いきれないでいる。
10歳の冬明は、真面目で優しい「良い子」だが、強い人見知りで、「頭が痛い」と言って早退することも多い。そして、この年齢の子供にしては空想の世界を信じすぎていると愛は心配している。冬明は、「ジャバウォック」という想像上の怪物の名を頻繁に口に出す。
「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」
そんな冬明を、HSC(ハイリーセンシティブチャイルド)ではないかと考え、気を揉む愛。冬明の個性だととらえ、あくまで冬明の言うことに寄り添おうとする楓。これはそんな、少し不安定な「家族」の物語だ。
大人はただの空想だと思って、取り合わない「ジャバウォック」。でも、「ジャバウォック」が絶対にいないだなんて、言い切れるだろうか。
繊細でリアルな「家族」関係の機微に、ファンタジーが流れ込み、現実が変容していく。リアルとファンタジーの見事な融合を、ぜひ味わってほしい。
河野さんが描いたのは、親から子への愛。親の愛は強固なぶん危うく、ときとして怪物のようにもなる。しかし河野さんは、その愛を否定するためではなく、全力で肯定するためにこの作品を書いたと言う。
本作は親としての私が子に宛てたラブレターで、子としての私が親に宛てたラブレターでもある。私は家族を愛している。
(著者メッセージより)
全国の書店員からも、感動のコメントが寄せられている。
紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
現実と空想が織り交ざったような世界観が儚く優しく美しい。その"秘密"にふれた時、今まで感じたことのない神秘的な感情で心を包まれました。
自分とは、家族とは何なのか...人と人とのつながりや絆について考えさせられる、心を洗うような作品です。
未来屋書店明石店 井村有希さん
久しぶりに頭痛を覚えるほどに泣いた作品でした。
血の繋がり、家族の在り方、愛情とは、何が正しくて何を悪とするのか、そもそも正しいって何だ?
大切なことがたくさんたくさん詰まっている。
今とっても幸せな人も、悩んでばかりでしんどい人も、どうか、一人でも多くのひとにふれてもらえますようにと願わずにはいられない。
あなたも、親や子供、大事な誰かのことを思いながら、この本を手に取ってみてほしい。
■河野裕(こうの・ゆたか)さんプロフィール
徳島県生まれ、兵庫県在住。2009年角川スニーカー文庫より『サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY』でデビュー。主な著作に「サクラダリセット」シリーズ、「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ、『ベイビー、グッドモーニング』、15年に大学読書人大賞を受賞した『いなくなれ、群青』から始まる「階段島」シリーズ、「さよならの言い方なんて知らない。」シリーズ、山田風太郎賞候補となった『昨日星を探した言い訳』などがある。
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