いま、豆の品質や自家焙煎、淹れ方などにこだわる「サードウェーブコーヒー」が広まり、コーヒーに注目が集まっている。世界各地のコーヒー豆を扱う店も増え、自宅で気軽においしいコーヒーを味わえるようになった。せっかくだから、ちょっと高級な豆を...と買って帰ったらあれ? あんまりおいしくないかも...。
好みの問題?それとも、淹れ方が間違ってるの? そんな疑問に答えてくれるのが、『世界一のバリスタが書いた コーヒー1年生の本』(宝島社)だ。
著者は、世界最大のバリスタ競技会であるワールド・バリスタ・チャンオンシップで第15代ワールド・バリスタ・チャンピオンをとった井崎英典さん。アジア人で初となる優勝者である。現在はコーヒーに関するコンサルティングを行っているそうだ。本書は、そんな井崎さんがコーヒーの基礎的な知識から、豆の選び方や淹れ方、アレンジレシピまで教えてくれる本だ。
まずは豆の選び方から。最近は酸味のあるフルーティーな豆も人気だが、自分の好みに合うとは限らない。
コーヒーの味は、苦味、酸味のほか、フローラルやフルーティーなど様々に表現される。自分の好みのコーヒー豆を選ぶにはどうしたらよいのだろうか。井崎さんは、まずは苦味と酸味の2軸で選ぶことをおすすめしている。自分が苦味と酸味どちらのほうが好きなのかは普段の食事の好みからわかるそうだ。
苦味寄り味覚の人
・ホップのきいたビールが好き
・ビターチョコが好き
・魚などの焦げが好き
酸味寄り味覚の人
・ナチュラルワインが好き
・ミルクチョコが好き
・発酵食品が好き
苦味寄りの味覚の人が豆を選ぶ際は、お店に行って一番苦い豆を出してもらい、「かなり深めに焙煎してください」とオーダーするといいそうだ。そして、実際に淹れてみてそこで口に合ったらゴール。苦すぎたということなら、2番目に苦い豆を買って試す。もっと苦いものが好みならば店を変えて更に苦い豆を試してみる。
酸味よりの味覚の人が豆を選ぶ際のコツは、お店で一番酸っぱい(浅煎り)の豆を試してみる。物足りなければ、お店を変えて、1番酸っぱい豆をオーダーする。酸っぱすぎたら、最初のお店で2番目に酸っぱい豆を試すといいそうだ。
コーヒーは豆のまま買ってきて自宅でその都度挽く方がおいしいに違いない!と、インテリアにもなるアンティークのミルでゴリゴリ。でも、お店で試飲させてもらったのとは、なにか違うような......?なんて経験はないだろうか。
コーヒーといえば「手動のミル」とイメージする人は多いだろう。しかし、井崎さんは、「ミルは不要」と説く。ミルの刃の形状はたくさんあり、質は価格相応。低性能のミルだと粒がそろわず微粉が出てしまい、せっかくのいい豆を台無しにしてしまうリスクがある、と井崎さん。もし買うなら最低でも数万円が目安。井崎さんの一押しミルは、Kalitaのナイスカットミルだという。
しかし、初心者がいきなり数万円の高級ミルに手を出すのは難しい。そこで井崎さんは、豆を買ったお店で挽いてもらうことをおすすめしている。どう淹れるのかなど、プロの目線で判断して挽いてくれるそう。これなら、お財布にも初心者にも優しい。
コーヒーを淹れるときの水も重要だ。ただ、最初は難しく考えずに水道水から始めてもいいとのこと。水道水を使う場合は浄水器を通してから使うとよい。「水によってどれくらい味が変わるか試したい」と思ったら、ミネラルウォーターを使ってみるといいそうだ。ミネラルウォーターを選ぶ際のポイントは水の硬度。コーヒーに最適な硬度は、30~100の軟水が理想的だそう。
コーヒーは農産物のため、保存方法にも注意したい。買ってきてから自宅で常温保存をすると2週間ほどで鮮度が落ちてしまう。豆の状態であれば、冷凍庫で保存するのがベストだ。ミルで挽く際も、解凍せず凍ったままミルで挽いてOK。粉で買った場合は、冷凍保存せず一週間以内に飲み切るのがベストだそうだ。
コーヒーはカフェで飲むのもいいが、本書を参考に好みの豆を選び、こだわりの一杯を自宅で楽しんでみては。
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