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晩婚の姫君が、夫に22男15女をもうけさせた「驚くべき」提案とは?

お姫様は「幕末・明治」をどう生きたのか

 「幕府に嫁ぎ、愛を見出し、幕府を看取った皇女 和宮」「勝海舟との知られざるロマンス!? 篤姫」「私財をなげうち"北海道開拓の母"に 伊達保子」......。

 歴史研究家・河合敦さんの著書『お姫様は「幕末・明治」をどう生きたのか』(扶桑社文庫)は、激動の時代をたくましく、意思を持って生き抜いた15人のお姫様たち(皇族や大名の子女)を紹介する1冊。本書は累計8万部突破のシリーズ第3弾。

 「ペリーが来航して幕府に開国を迫り、我が国は幕末を迎える。そうしたなかで慶応三年(一八六七)末、ついに江戸幕府が消滅して新政府が樹立され、国内は内戦(戊辰戦争)に突入する。ここから廃藩置県に至る数年に及ぶ激動期を、姫たちはいったいどう生きたのか。そこに、本書は初めてスポットをあてた」

お姫様たちの知られざる活躍

 はじめに、お姫様たちの知られざる活躍を一部紹介している。

 1868年の戊辰戦争で徳川家は存亡の危機に立つ。そのとき勝海舟の尽力で取り潰しを免れたとされているが、じつはその陰に姫たちの大いなる活躍が。13代将軍家定の御台所・篤姫と14代将軍家茂の正室・和宮は、命を捨てる覚悟で、嫁ぎ先の徳川家の存続を新政府や朝廷に働きかけたという。

 一方、仙台藩主伊達斉義の娘・保子は、亘理伊達家当主の邦実に嫁いだが、戊辰戦争のあと同家は2万4千石を130俵まで減らされる。時の亘理家当主の邦成は、家臣を引き連れて北海道の開拓を決意。保子は現地で人々を励まし、私財をはたいて開拓を成功に導き、家中から「開拓の母」と慕われたという。

■目次

第一章 将軍家・御三家 激動の世紀を生きたお姫様
徳川吉子(女王) 水戸徳川家九代藩主斉昭正室 "烈公"に側室をすすめた王女
篤姫 十三代将軍家定正室 気位の高い嫁との反目の果て
和宮 十四代将軍家茂正室 政略結婚から手にした真実の愛
徳川美賀子 十五代将軍慶喜正室 大奥に入らなかった最後の御台所
新村信 十五代将軍慶喜側室 子宝に恵まれた将軍の側室
中根幸 十五代将軍慶喜側室 孫娘が祖母だと気づかなかった「優しいお幸さん」

第二章 大名家 時代に翻弄されたお姫様
照姫 九代会津藩主松平容保義姉 義弟との淡く、秘められた恋
貢姫 六代川越藩主松平直侯正室 文武両道の才媛の幸せとは?
丹羽久子 十代二本松藩主丹羽長国正室 決死の逃避行の行く先
伊達保子 仙台藩十三代亘理伊達家当主邦実正室 開拓のためにかけた生涯

「ぜひ斉昭公のために、側室を」

 ここでは第一章から、徳川吉子(1804~1893)を少し紹介しよう。

 吉子女王は、有栖川宮織仁親王の娘として生まれ、登美宮とも呼ばれた。のちに水戸藩9代藩主徳川斉昭の正室となり、最後の将軍となる徳川慶喜を産んだ。

 「徳川斉昭という人は、多くの著作と書簡、詩文を残している。それを読むと、たいへん気性が激しく、個性の強い人物だったことがよくわかる。ちなみに斉昭のことを烈公と呼ぶのは、そんな資質をとらえたものだろう」

 斉昭の嫁に内定したとき、吉子は27歳。当時としては、とうの昔に婚期を過ぎた年齢だ。吉子は前藩主の正室・峰姫に「驚くようなこと」を申し出た。

 「私はもう高齢ゆえ、跡継ぎが生まれないかもしれませぬ。ぜひ斉昭公のために、侍女(側室)をもたせてあげてください」

 斉昭は、吉子と10人の側室で22男15女をもうけた。側室10人、子ども37人......桁外れのスケールに、驚きを通り越して感心してしまう。結局、吉子は結婚後すぐに懐妊。現代の感覚ではいろいろ信じがたいが、斉昭と吉子の仲はむつまじく、「二人三脚の夫婦」だったという。


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 本書は読みづらい漢字にルビが振られていて助かる。写真や図、用語解説もあり、日本史の学び直しにぴったり。教科書では読めないおもしろエピソードもあり、学生さんにもおすすめ。


■河合敦さんプロフィール

 歴史研究家・歴史作家・多摩大学客員教授、早稲田大学非常勤講師。1965年東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。歴史書籍の執筆、監修のほか、講演やテレビ出演も精力的にこなす。 近著に『逆転した日本史』『禁断の江戸史』(ともに扶桑社新書)、『渋沢栄一と岩崎弥太郎』(幻冬舎新書)、『絵画と写真で掘り起こす「オトナの日本史講座」』 (祥伝社) 、『最強の教訓! 日本史』(PHP文庫)、『最新の日本史』(青春新書インテリジェンス)など多数。初の小説『窮鼠の一矢』(新泉社)を2017年に上梓。


※画像提供:扶桑社


 
  • 書名 お姫様は「幕末・明治」をどう生きたのか
  • 監修・編集・著者名河合 敦 著
  • 出版社名扶桑社
  • 出版年月日2021年9月29日
  • 定価880円(税込)
  • 判型・ページ数文庫判・216ページ
  • ISBN9784594089573

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