「男女平等」の理想にはほど遠い日本。セクハラやマタハラ、DVなど、被害を受けた女性が圧力に負け、泣き寝入りしてしまうことも。自分の身を守るために知っておきたいのが法律の知識だ。
2021年9月11日、『マンガでわかる!わたしの味方になる法律の話』(大和書房)が発売された。著者は、民事学を専門とする中央大学法学部教授の遠藤研一郎さんだ。
日本は男女平等な国のはずだが、世界フォーラムが発表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書2021」によると、153か国のうち、日本はジェンダー格差が少ない国120位だ。G7の中では断トツの最下位となっている。今も「女性だから」という固定観念が根強く残っており、職場や家庭で不利な立場に置かれてしまう女性も多い。
本書は日常生活の中で起こりうる女性のピンチを助け味方になる法律について、漫画でわかりやすく解説している。
■婚約ってどういうもの?
婚約とはカップルが「将来の結婚の約束」をすることだ。婚約については、将来の結婚に向けてお互いに誠実に交際をして、結婚生活を送れるようにすることが法的に義務付けられている。最低限必要なことは「お互いの合意」だ。破棄する場合は「正当な理由」が重要となる。
例えば、披露宴をキャンセルする場合、正当な理由がない一方的な破棄の場合は婚約破棄した人が負担することになる。婚約について法的な記載があることを知らなかった人も多いのではないだろうか。
■突然の妊娠がわかったら?
育休は正社員だけではなく、有期契約の従業員でも条件を満たせば取得できる。また、育休はどの会社でも受け入れなければいけない制度であり、「うちの会社は育休ないよ!」なんてことは認められない。法的な知識があれば、一人で悩まずに頼ることができる。
本書の目次は以下の通り。
【目次】
SCENE1 恋愛・結婚と法
SCENE2 仕事と法
SCENE3 性と法
SCENE4 親子と法
SCENE5 生活と法
女性に寄り添う書籍は、女性によって書かれたものが多い。著者の遠藤さんは、本書の冒頭で、
私は、「男性」であり、そして、「大学の教員」です。しかも、さえない「オジサン」です。
と断ったうえで、「社会を俯瞰すること」を得意とする法学の研究者として、少し「薄味」の本をめざしたという。
「あ~。こんなシチュエーション、女性ならあるかもなぁ」と共感してもらい、ふわ~っといまの日本の制度(法律)がどのようになっているのか知ってもらい、ちょっとだけ社会を新しい目で見てもらって、ほんのちょっとだけ明日への生活に役立ててもらえば、それで任務完了。
理不尽な思いをして泣き寝入りしそうなときには、ぜひ法律の力に頼ってほしい。知識をつけておけば、トラブルに巻き込まれてしまったときに役にたつに違いない。
■遠藤研一郎さんプロフィール
中央大学法学部教授。専門は民事法学。1971 年生まれ。
中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了。岩手大学人文科学部講師、助教授、獨協大学法学部助教授、中央大学法学部准教授などを経て現職。おもな著書に『僕らが生きているよのなかのしくみは「法」でわかる』(大和書房)、『はじめまして、法学』(ウェッジ)などがある。
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