数年後に悪影響や副作用は出ない? 変異株の感染を防げる? ワクチン以外の薬はないの? 一生打ち続けないといけない? 「免疫学の第一人者が、全ての疑問に答える」――。
宮坂昌之さんの著書『新型コロナワクチン 本当の「真実」』(講談社現代新書)が売れている。
新型コロナワクチンの「真実」を謳う書籍は多いが、本書は「本当の」を重ねて「真実」を強調している。他では取り上げられていない、さらなる恐ろしい「真実」を明かすものかと思ったが......そうではなかった。
本書は、免疫学者である著者が最新の科学的エビデンスをもとに、新型コロナワクチンの有効性と安全性を徹底分析したもの。
「『ワクチンを接種すべきか、それとも控えるべきか』悩んでいる方も多いと思いますが、本書を読むことで不安感や疑問点のかなりの部分が解消されるはずです。ワクチンを手放しに礼賛するのではなく、報告されている副反応や未確定な部分についてもできるだけ詳しく解説しています」
現在、日本で接種が進んでいる「ファイザー製」と「モデルナ製」のワクチンは、発症予防効果約95%という驚異的な効果を持つ。
一方、ウイルス遺伝子の一部を使う世界初の本格的なmRNAワクチンであること、開発期間が極めて短期間であること、従来のワクチンに比べて副反応の発生頻度が高いことなどから、まだまだ接種に不安を感じている人も多い。
そこで本書は、本当に効果がある? 本当に安全? 将来予期せぬ問題が発生することは? 「英国型変異株(アルファ株)」や「インド型変異株(デルタ株)」に対しても有効? など、非常に気になる新型コロナワクチン情報を伝えている。
■目次
はじめに
プロローグ 新型コロナウイルス感染症はただの風邪ではない
第1章 新型コロナワクチンは本当に効くのか?
第2章 新型コロナワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはそもそもなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来「不利益」を被ることはないのか?
第5章 ワクチン接種で平穏な日常はいつ戻るのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新しい治療法、そして未来
エピローグ
講談社公式サイトでは、本書の一部を試し読みできる。
はじめに、著者は自身の立場を明確にしている。2020年末までワクチンに対して「慎重な意見」を持っていたが、その後の情報を総合的に判断して「意見を大きく変えました」とある。「『打たないという選択肢はない』というのが率直な感想」とも。
ただ、これはあくまで著者の「個人的な見解」であり、読者に接種を強要してはいない。
「最終的に接種するか、見送るかは個人が判断するべきことで、決して同調を求めるものではありません。科学的エビデンスのある情報を吟味して、納得できなかったり、不安感が残るのであれば、接種しなければよいのです」
本書の大きな特徴として、「嫌ワクチン本」を検証する章を設けていることが挙げられる。著者は、「新型コロナワクチンの本格的な接種に合わせて刊行された書籍」のことを「嫌ワクチン本」と呼んでいる。
「ネットに氾濫する情報に比べると、信頼度が高いとされている書籍のなかにも、長年免疫を研究してきた著者からすると、眉をひそめるような作品も少なくありません。とりわけ(中略)『嫌ワクチン本』は、科学的に間違った記述や偏見に満ちており、座視できないレベルのお粗末な内容です」
「嫌ワクチン本」をかなりズバッと批判していて、驚き、ヒヤヒヤした。
数多ある情報のうち、どれを信じるか。接種するか、控えるか。本書は自分でしっかり判断するための、1つの手がかりになりそうだ。
■宮坂昌之さんプロフィール
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。1947年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所を経て、大阪大学医学部教授、同・医学研究科教授を歴任。医学博士・PhD。著書に『分子生物学・免疫学キーワード辞典』(医学書院、共著)、『標準免疫学』(医学書院、共著)、『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』『免疫力を強くする 最新科学が語る免疫とワクチンのしくみ』『新型コロナ 7つの謎』(いずれも講談社ブルーバックス)など。
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