「死ぬときぐらい好きにさせてよ」
これは、新聞広告で女優の樹木希林さんの終活宣言として発表されたメッセージだ。ジョン・エヴァレット・ミレイの絵画『オフィーリア』を彷彿とさせるビジュアルと、死を連想させるキャッチコピーが当時話題となった。ふだん何気なく目にする広告は、感情を揺さぶる言葉で溢れている。
『心ゆさぶる広告コピー その言葉は、あなたの人生とつながっている』(パイ インターナショナル)は、人々の心を動かす広告コピーに焦点を当てた1冊。「わくわく」「うるっと」「どきどき」「はっと」などの感情別に作品を紹介していく。あなたの人生を変えるような言葉もあるかもしれない。
では、本書の内容を一部紹介していこう。
夢なんか、
あるほうがすごい。
ワコールの新入社員の声から生まれた女性用下着の広告。ターゲット層に届けるため、社会に出る不安や本音に寄り添い、後押しするコピーを作成したという。
夢を持ちましょう。
と、大人は言う。
私だって思う。
目標はあった方が絶対いいし、
好きなことに夢中な人はうらやましいって。
自分なりに就活して、
内定ももらったけれど。
その志望動機が一生の夢かと聞かれると、
正直あやしかったりする。
(中略)
私は、私のスピードで。
そう。夢なんか、走りながら見つけたって、いいんだ。
これから社会に出る人だけでなく、何年も前に新入社員だった人も、「自分もそうだったな」と共感できる。
女やったら、あきませんか。
ポーラのビューティーディレクター第1号となった女性が、実際に発した言葉。3月8日の国際女性デーに掲載された。
女やったら、あきませんか。かつて、そう声を上げた一人の女性がいました。自分の可能性を信じ、一歩を踏み出した。そして、すべてを変えた一人の女性がいました。だからこそ、私たちははっきりとこう言えるのです。世界を変えるのは女性だ、と。
ジェンダー平等を叫ぶ声が日に日に高まる今、多くの人に刺さるコピーだ。
おとなには、卒業がない。いつ始めても、いつまでやっててもいいってことだ。
イオンウォーターの広告。大人の日常に寄り添いたいという商品コンセプトをコピーに込めた。
周りを見て鏡を見て、さて大人はどこにいるのだろうと思う。(中略)途方に暮れそうなこの長い時間、そこで出くわす迷いや葛藤や発見を、ささやかな可能性のように微かな追い風のように切り出せたらと思った。大人と呼ばれる毎日を、焦らずゆっくりと歩むため。
いつまでたっても大人になりきれていないような気がしている「大人」たちに、「いつ始めても、いつまでやっててもいい」と優しく語り掛けるコピーが印象的だ。
「人を落とさず、
自分が上がろ。」
アパレルブランドearth music & ecologyの広告。若い女性向けのブランドだが、多くの人の胸を打つ。店頭にも掲出され、道行く人々の心に訴えかけた。
もう嫉妬はしないと決めた。
(中略)
嫌な自分を知らないための、
たったひとつの解決法。
自分をがんばること。
ただそれだけ。
ただそれだけの春の決意。
どうやったらこのような言葉を思いつくのだろう。コピーが発表された背景や言葉の解説もされており、興味深く読むことができる。
シンプルな言葉で心をゆさぶるメッセージの数々。忙しい日々の中でふと立ち止まり、誰かを傷つけていないか、自分を卑下していないかと、我が身を振り返るきっかけをくれる一冊。
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