本を知る。本で知る。

「自分たちが何者なのか」を考えていますか?

 組織がうまく機能しない、実態に合った組織化ができていない。

 自社について、そんな課題を感じる方におすすめの本がある。『ウィニングカルチャー』(中竹竜二 著、ダイヤモンド社)だ。

 本書は、副題に「勝ちぐせのある人と組織のつくり方」とあり、組織の機構だけでなく、組織風土にも目を向けた本で、人数規模に関係なくすべての人のコミュニティに参考になる構成になっている。

画像は、『ウィニングカルチャー』(中竹竜二 著、ダイヤモンド社)

 本書は、プレーヤーとして指導者として、ずっとラグビーを見続けてきた経歴を持つ日本ラグビーフットボール協会理事の中竹竜二さんによる執筆で、2019年の第9回ラグビーワールドカップでの日本の歴史的快挙、ベスト8入りの振り返りから書き始められている。

 中竹さんは冒頭にこう記している。

 ここに至る道のりは決して順風満帆ではありませんでした。(中略)「負け犬根性」を根底からくつがえし、貧欲に勝利を追求する「ウィニングカルチャー(常勝の組織文化)」を構築したこと。その果実として、ベスト8入りという快挙が実現したのです。

 本書は、日本ラグビーのたどった道のりを冒頭で紹介しながら、ジェイミー監督だけでなく、エディ監督の取り組みや振る舞いなどにも触れながらも、スポーツ以外の組織活動に向けて参考になるようにウィニングカルチャーについて説明している。

 本書には、スポーツだけでなく、企業活動上でも基本となると思える教訓がたくさんちりばめられているので、その中から、第三章の"組織文化を「知る」"を取り上げて紹介したい。「自分たちは何者なのか」、アリストテレスの言葉をもとに展開するこの部分は、特に印象に深い。

 中竹さんは、現代でも続く老舗は、「自分たちは何者なのか」をよくわかっているという。先般、紹介した船橋屋代表取締役八代目当主の渡辺雅司さんの著書『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』(PHP)でも、まさに、船橋屋にとって「自然なこと」を意識して営んできたことが書かれていたので、理論は共通している。

 

 中竹さんは、次のように記している。

 業績が順調なときに「自分たちは何者か」と問う企業は多くはありません。うまくいかなくなって初めて、自分たちがやってきたことは正しかったのか、このまま変わらなくていいのかと考えるようになるのです。業績不振になってから唐突にこう問いかけても正しい答えを導くことは難しいはずです。
(中略)
 自分たちが何者かを考えるときに必要なのが、組織文化を知ることです。

 中竹さんは、平時から意識的に自分たちが何者なのかを考えることが大切で、それゆえに、組織文化を日ごろから知ることが重要だと説く。

 この一説は本書の収録内容の一例であり、本書には組織文化を知ること、変えること、進化させることなどの組織運営に役立つポイントが、豊富な例示を交えてつづられているので、目次も参照しながら読み進めると全体像がつかみやすい。

 中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)さんは早稲田大学ラグビー蹴球部で主将を務め、全国大学選手権で準優勝。その後、海外留学や、株式会社三菱総合研究所勤務を経て、2006年に早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2007年度から2年連続で全国大学選手権優勝。さらに、2010年には日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを務め、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行を兼務し、2019年より日本ラグビーフットボール協会理事を務めている。

 企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス代表取締役も務める。



 

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