2019年夏、大きな関心を集めた「常磐自動車あおり運転事件」。逮捕された男が、執拗にあおり運転を繰り返し被害者の車を停車させうえ、殴ってけがをさせた衝撃的な事件だ。その様子をガラケーで撮影していた同乗者の女と間違われたのが、さはらえりさん。「ガラケー女」と呼ばれ、「犯罪者」としてネット上に名前や顔写真、住所などの個人情報がさらされた。不特定多数の「加害者」から大きな被害を被った女性だ。
2021年2月27日発売予定の『ネット社会と闘う~ガラケー女と呼ばれて~』(リックテレコム)は、著者のさはらさんが、ネット上のデマや誹謗中傷との闘いを詳細に描き、「一億総加害者社会」に警鐘を鳴らしている。
本書では、事件に巻き込まれた当日から弁護士との出会い、記者会見、民事訴訟などの出来事が、時系列にまとめられている。また、同じく過去にデマ被害に苦しんだスマイリーキクチさん・石橋秀文さんとの対談、担当弁護士へのインタビューも収録されている。
本書の目次は以下の通り。
はじめに~私が経験した「一億総加害者社会」
第1章 その日は、突然来た
第1節 電話が鳴り止まない日
第2節 事の顛末(常磐道あおり運転事件)
第3節 おそるべきTwitterの拡散力
第4節 耐えられない心当たりのない誹謗中傷
第2章 初期対応
第1節 アドバイスをくれた人々
第2節 反論の機会はないの?
第3節 弁護士とのファースト・コンタクト
第4節 警察署での四時間
第5説 「声明文」で反撃開始
※対談1
共通項は「あおり運転事件」
人違いで奪われた平穏な人生を取り返す闘い
石橋秀文氏 × さはらえり
第3章 反撃の狼煙
第1節 「ネットに強い弁護士」と対面
第2節 過去の事例に見る「法的措置」の高い壁
第3節 「書き込み」に対する責任
※対談2
スマイリーキクチさんに聞く
「誹謗中傷との闘い方」と「ネットとの付き合い方」
スマイリーキクチ氏 × さはらえり
第4章 記者会見、そして訴訟へ
第1節 顔出しNG、声だけの記者会見
第2節 訴訟準備へ突入
第3節 デマを流したのは誰だ! インフルエンサーを絞る
第5章 立ちふさがる「壁」
第1節 「情報開示請求」って何するの?
第2節 訴訟って訴える方がキツい
第3節 またもや誹謗中傷の嵐
※インタビュー
「被害者救済」までの長い道のり
インテグラル法律事務所 パートナー 弁護士 小沢一仁氏
第6章 「一億総加害者社会」への警鐘
第1節 永久に残る情報(デジタルタトゥー)
第2節 「他人の感情を読む力」を取り戻す
あとがき
「一億総加害者社会」では、いつ自分に矛先が向くともわからない怖さがある。そして、自らがデマを発信したり、中傷の加害者になったりすることは絶対に避けたい。
本書には、被害者にしかわからない視点でネットとの付き合い方やSNSとの向き合い方、そして、現在も続く過酷な闘いが詳細に記録されている。その時、何が起きるのか。ネット社会で加害者にも被害者にもならないために、読んでおきたい一冊。
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