来月11日、東日本大震災と福島第一原発事故から10年となる。
本書『福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、「3.11後、独立した民間の立場から検証を行い、話題を呼んだシンクタンクによる最後の報告書」である。2月19日発売。
「原発事故から10年で何を学び、何が変わったのか。そして未来への提言」
シンクタンクの「日本再建イニシアティブ」は、東京電力福島第一原発事故が最悪の時期を脱した後、民間の独自の立場から福島原発事故独立検証委員会(以後、民間事故調)を設置。
事故の検証を行い、教訓を引き出し、それらを盛り込んだ『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を2012年に刊行した。
「日本再建イニシアティブ」を改組した「アジア・パシフィック・イニシアティブ」は、2019年に「福島原発事故10年検証委員会」を立ち上げた。
事故発生後10年のフクシマの真実に今一度正面から向き合い、民間事故調が提起した課題と教訓をおさらいすること。日本はそこから何を学んだのか、何をどう活かしたのか、また、十分に学べなかったことは何か、それは何故かを検証すること。これらを目的としている。
「『忘れない』ことのもっとも真摯な実践」は、人間社会における悲劇的事件・事故・事象を常に検証し、そこから学び続けること。その一環として、再び民間事故調を設立し、「10年後のフクシマ」を検証することにしたという。
報告書の作成にあたって、当時を知り、現在も問題に携わる関係者37名(東京電力、原子力規制庁、自衛隊、政治家など)へのヒアリングを実施。
これをもとに専門家8名が検証・考察を行い、本書を執筆した。専門家の客観的な視点から、私たちは福島原発事故から何を学んだのかを検証している。
本書の著者である「アジア・パシフィック・イニシアティブ」は、『新型コロナ対応 民間臨時調査会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を2020年に刊行した。
そこで本報告書では、政府の福島原発事故への対応と新型コロナウイルスへの対応を比較。福島原発事故の教訓が活かされている部分、学ぶ必要のある部分を検証した内容となっている。
■目次
はじめに 「国の形」は変わったのか?
序章 第二次民間事故調の課題:「いつものパターン」は許さない
第1章 安全規制 ─―不確かさへのアプローチ─―
第2章 東京電力の政治学
第3章 放射線災害のリスク・コミュニケーション
第4章 官邸の危機管理体制
第5章 原子力緊急事態に対応するロジスティクス体制
第6章 ファーストリスポンダーと米軍の支援リスポンダー
第7章 原災復興フロンティア
終章 「この国の形」をつくる
■著者
一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は、2017年7月発足。アジア太平洋の平和と繁栄を追求し、この地域に自由で開かれた国際秩序を構築するビジョンを描くことを目的とするシンクタンクであり、フォーラム。
■委員会委員
座長 鈴木一人 東京大学公共政策大学院教授。
委員 久郷明秀 株式会社三菱総合研究所主席専門研究員。博士(エネルギー科学)。
委員 奥山俊宏 朝日新聞編集委員。
委員 関谷直也 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター准教授、総長補佐。福島大学食農学類客員准教授。
委員 千々和泰明 防衛省防衛研究所戦史研究センター安全保障政策史研究室主任研究官。博士(国際公共政策)。
委員 小林祐喜 公益財団法人笹川平和財団安全保障研究グループ研究員。博士(原子力安全・レジリエンス)。
委員 磯部晃一 一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブAPIシニアフェロー。元陸上自衛隊東部方面総督/陸将。
委員 開沼博 立命館大学衣笠総合研究機構准教授。
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