読むべき本、見逃していない?

いま必要なのは趣味より自分の「カルチャー」/借金玉インタビュー(2)

 発達障害をもつ借金玉さんが、当事者目線で綴った書籍『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)が人気だ。

 そんな注目の借金玉さんへのインタビュー、前回、第1回「意識は低いほうがいい。第3波でメンタルがダメにならない在宅ワークのために」では、リモートワークがはかどる工夫について語っていただいた。

 第2回となる今回は、人と会う機会が減ることによる鬱屈とした気分への対処法について話を聞く。

 画像は、『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)
 画像は、『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)

―― リモートワークが普及したことで、人に会う機会が激減した人も多いと思います。それによって鬱屈とした気分になりやすくなっている方もいるのではないでしょうか。そんなときには、どのように対処すればいいでしょう。

借金玉:「カルチャー」をもつことではないでしょうか。「これをやっていれば自分は楽しい」というものを。趣味よりも、見つけるのは大変ですが......。     

 ギターを弾けば楽しい人っていうのは、ギターがそれなりにうまい人です。文章を書くのが楽しい人は、文章がある程度うまい人でしょう。

 そんなふうに、楽しむためにはある程度の技術的習熟が必要だと思うのです。そんなカルチャーを、普段から身に着けておけるといいですよね。僕は、そのレパートリーを増やすようにしています。

キャプション:「カルチャー」の重要性について、軽快に話してくれた借金玉さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)
キャプション:「カルチャー」の重要性について、軽快に話してくれた借金玉さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)

―― 最近は、どんなカルチャーをたしなんでいますか。

借金玉:ワインを楽しむのを解禁しました。これがまた、勉強することが本当に多くて奥が深い。何も考えずにガバガバ飲んでいると怒られる趣味なので、おっかなびっくり飲んでみています。

―― 素敵ですね! 一方、在宅時間が増える中で、よくないお酒の飲み方をしてしまう人も確実に増えているように思います......。

借金玉:そうですね......。お酒に変なハマり方をしないコツは、良いお酒を、ちゃんと調べて飲むことだと思います。これはどんなお酒で、どんな背景があるのか。どこの醸造所で作られたのか。そういうことを調べながら、体系的に知識を深めていく飲み方。それならアル中にもなりにくいのではないでしょうか。

 1人でもできますし、安いウイスキーやワインでも、調べてみるとけっこう深いのですよ。だから、高いお酒でないとダメというわけではなく、予算に合わせて楽しめばいいと思います。

 とにかく、「お酒でありさえすればいい」、「酔えればそれでいい」、そんな飲み方はしないことがこだわりです。

―― 本書では、「エントリーコスト」という表現が出てきましたね。お酒でもなんでも、楽しめるようになるまでに技術的な習熟が要求されるものは、エントリーコストがかかると。

借金玉:ええ。そういう、エントリーコストが高いものを楽しめる力が「教養」と呼ばれるものだと思います。お金を使わずに楽しめる力とも言い換えられますね。世界をおもしろがるには、知識が必要です。

 逆に言えば、たいていのものは、知識があればおもしろい。その、おもしろがる力があれば、家にいても鬱屈としないのではないでしょうか。

借金玉さんは終始、軽妙なトークで場を明るくしてくれた(イラスト:伊藤ハムスター)
借金玉さんは終始、軽妙なトークで場を明るくしてくれた(イラスト:伊藤ハムスター)

 全体的に和やかな雰囲気で進んだインタビューでは、「自分を変えるのではなく、環境を変える」という借金玉さんの一貫したメッセージが伝わってきた。

 私たちはつい、うまくいかないと自分を責めて落ち込んでしまう。けれど、「世界一意識の低い自己啓発書」である借金玉さんの著書は、そんな人びとに誠実に寄り添い、非常に具体的な武器を手渡してくれるのだ。

 そもそも、うまくやるために「意識の高さ」など必要だっただろうか? 全てがうまくいかないと感じている人、肩の力を抜きたいのにやり方がわからない人、そういう人にとって、本書はまさにバイブル的な存在になるにちがいない。


(BOOKウォッチ編集部 大久保)

プロフィール

借金玉
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断され、二次障害として双極性障害の症状もある。早稲田大学を卒業後、大手金融機関に就職するものの、2年で退職。飲食業界で起業した後、事業破綻し、2,000万円の借金を抱えることに。1年かけて「うつの底」からはい出し、現在は不動産営業と作家業をかけもちしている。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』(KADOKAWA)。

 
 

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