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意識は低いほうがいい。第3波でメンタルがダメにならない在宅ワークのために/借金玉インタビュー(1)

 発達障害の当事者である借金玉さんの著書が版を重ね話題を呼んでいる。

 自らの壮大な失敗談とともに「普通じゃないけど使えるライフハック」をふんだんに盛り込んだ書籍『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)は、その実践的な内容が好評で、2020年12月現在、7刷、7万部超えの人気ぶりだ。

画像は、『発達障害サバイバルガイド「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)
画像は、『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)

 本書が発売された7月当時に比べ、いわゆる「ニューノーマル」と呼ばれるような生活スタイルもかなり浸透してきた。

 大きな変化の1つが、リモートワークだ。従来のオフィスワークに比べ、快適な自宅で仕事ができる一方、集中しにくいなどの課題を感じる人も多いのではないだろうか。

 そこで、BOOKウォッチ編集部では、著者の借金玉さんへのインタビューを敢行。2回にわたってお届けする。第1回は、リモートワークがはかどる工夫についてを中心に話を聞いた。

『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)の著者・借金玉さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)
『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)の著者・借金玉さん(撮影:BOOKウォッチ編集部)

―― 本書は、ダイヤモンド社の公式サイトでは「世界一意識の低い自己啓発書」と紹介されています。人間の意志の力をあてにせず、「環境」を整えることに注力する内容が、なかなか他に類を見ない点であると思います。

借金玉:ありがとうございます。一般的な自己啓発書のような、人より高い生産性を出したり、とびぬけた能力を身に着けたりといったことを、本書では一切目指していません。前書きに書いたように、仕事もプライベートも、成功も失敗も、すべては「生活」の上にしか成り立たないのです。

 だから本書には、発達障害という問題を抱えた僕らがまともな生活を営むための、生活術をまとめました。

―― 借金玉さんの考える「まともな生活」とはどのようなものでしょうか。

借金玉:僕は、3つの段階があると考えています。第1段階は、とにかく「生きている」状態。第2段階は、「生活を維持できている」状態。これはまず仕事ができていて、かつ誰も本気でキレてないということです。

―― 本気でキレてない?

借金玉:はい。たとえば、いま3冊目の原稿が遅れに遅れているのです。でも、編集者さんはまだ本気でキレていないので、セーフです。現状は、2段階目をギリギリでクリアできている状態ですね。

―― 第3段階というのは?

借金玉:生活を維持する以上の発展的なことができる状態ですね。具体的には、仕事に直接は関係しないけれどやっておきたかったこと、「生きるため」だけではないことができている状態です。これが出来ていれば「まともな生活」達成と言っていい気がします。

―― それは意外に難しいですよね。

借金玉:ただ、これはあくまで僕にとっての「まともな生活」です。一般の方の考えるそれって、他者との比較や外部からのイメージで勝手に作られたものだと思うのですよ。

 僕はそれより、「自分にとってのまともな生活」に必要なことは何かと考えています。外部のイメージに左右されないほうがいい。だって、自分の生活が豊かになるのがいちばんで、自分に向いた生活は自分にしか考えられないわけだから。

「自分にとってのまともな生活」を考えるという借金玉さん
「自分にとってのまともな生活」を考えるという借金玉さん

―― 借金玉さんにとっての「まともな生活」第2段階に必要なことの1つは、仕事ができている状態というお話でした。現在、リモートワークが普及してしばらくたちますが、オフィスに比べてはかどらない人も多いのではないでしょうか。特に、誘惑の多い家で休憩から仕事に切り替えるのは至難の業です。そこで、何か良い工夫はないでしょうか。

借金玉:休息から仕事に移行するのは、人間にはけっこう難しいので考えるのは後にして、まず仕事から休息にパキッと移行するのを優先したほうがいいと思うのです。

 切り替えて休みに入るためには、場所を分ける必要がある。場所を変えずに気持ちを切り替えるのは不可能です。だから、会社から家に帰る時間って重要だったな、と今は思いますね......。リモートワークは仕事とそれ以外の区別があいまいになるので、過労で体を壊す人が増える気がします。

 僕の場合は、本書にも書いたように、「ここに座ったら絶対に仕事をしない」というイスを確保していますね。

―― そうして、仕事モードと休息モードをはっきり区別するということですね。

借金玉:ええ。それから休み終わって仕事を始めることについては、僕は本にも書いた「儀式」で乗り越えていますね。

 何かを始めるときに「よしやるぞ!」と気合いを入れるのは、全く効果がないので......。そういう言葉ではなく、何らかの行動に起こすようにしています。ジャケットを着て、手を洗って、顔を洗って、wordを開く......そういうルーティンを作って、紙に書いておくといいですね。

―― 書いておくのですか。

借金玉:僕は、スタートルーティンを書いて机に貼ってあります。そうでないと、すぐにすべてを省略し始めるので......。

 そもそも、「仕事モードに入る」というよりは、「集中のフローに入る」と意識するのが大切かな、と。そのためには、仕事を始めるという恐ろしいストレスを、「手を洗う」という儀式に置き換える。ジャケットを着て、手を洗って、顔を洗って......。フローに入れるかどうかは体調にもよりますが、せめてルーティンだけはやる。やってもうまく集中できなかったら、それはそれです。人間、やろうと思ったことがすべてできたらみんな東大に入っていますよ。そういう心持ちでいたいですね。


 第2回「いま必要なのは趣味より自分の「カルチャー」/借金玉インタビュー(2)」に続く


(BOOKウォッチ編集部 大久保)

プロフィール

借金玉
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断され、二次障害として双極性障害の症状もある。早稲田大学を卒業後、大手金融機関に就職するものの、2年で退職。飲食業界で起業した後、事業破綻し、2,000万円の借金を抱えることに。1年かけて「うつの底」からはい出し、現在は不動産営業と作家業をかけもちしている。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』(KADOKAWA)。

 

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