BOOKウォッチで紹介した『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)の受賞が相次ぎ、地味な戦史物としては異例の5刷になっている。
同書は、沖縄戦で少年兵士として動員された子供たちの実相をノンフィクションとしてまとめたもの。2018年、同名のドキュメンタリー映画として公開され、文化庁映画賞などを受賞した作品をもとに、映画には収まりきらなかった証言なども含めて活字化している。新書本だが、750ページの大著。10年に及ぶ取材が結実している。
9月に第63回JCJ賞受賞(日本ジャーナリスト会議)、11月に第7回城山三郎賞受賞(角川文化振興財団)を受賞している。
沖縄戦では、民間人を含めて約20万人が犠牲になった。第32軍牛島満司令官が自決し、1945年6月23日に戦争が終わった後も、北部では住民を巻き込んだ秘密戦が続いていた。山中でゲリラ戦を展開したのは「護郷隊」という少年兵で、彼らを組織したのは陸軍中野学校出身の青年将校たちだった。双方関係者への取材や資料を通して、本土も含めた戦争末期の異常な日本の姿を描き出している。
著者の三上智恵さんはジャーナリスト、映画監督。毎日放送、琉球朝日放送でキャスターを務める傍らドキュメンタリーを制作。初監督映画「標的の村」(2013)でキネマ旬報文化映画部門1位など19の賞を受賞。フリーに転身後、映画「戦場ぬ止み」(2015)、「標的の島 風かたか」(2017)を発表。続く映画「沖縄スパイ戦史」(大矢英代との共同監督作品、2018)は、文化庁映画賞ほか8つの賞を受賞した。著書に『戦場ぬ止み 辺野古・高江からの祈り』『風かたか「標的の島」撮影記』(ともに大月書店)などがある。
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