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奇跡の公立小学校が教える「見えない学力」自然と成績もアップする

 子どもが言うことを聞かなくて困る。どう接したらいいか......そう悩んでいる保護者に手に取ってほしいのが、『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』(青春出版社)だ。

画像は、『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部
画像は、『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部

 著者は、大阪市立大空小学校で初代校長を務めた木村泰子さん。2006年に開校したこの学校には、いじめを受けて学校に行けなくなった子や発達障害と診断された子など、支援の必要な子がたくさん転校してきたそうだ。

 教室を走り回る子、椅子をガタガタさせたがる子もいたが、子どもたちはみんないつも一緒があたりまえ。授業はちゃんとできるのか? 気が散って集中できないのでは? と思ってしまうが、全国学力調査で全国一の県を上回ったこともある。

 そんな大空小学校の様子はドキュメンタリー映画「みんなの学校」(2014年)にもなった。公立小学校の学校づくりは、大きな反響を呼びメディアにも取り上げられ「奇跡の小学校」とも言われた。

 木村さんの在任中9年間は不登校はゼロ。学力が高いのもすごい。その秘密を教えてほしいという要望から生まれたのが本書なのだ。

 キーワードは「見えない学力」。身に付けるには「人を大切にする力」「自分の考えを持つ力」「自分を表現する力」「チャレンジする力」の4つが必要だと書かれている。大空小学校ではこの4つの力をつけられるように教育した。「見えない学力」をつけていくと、自然と成績などの「見える学力」も上がってくるという。

 木村さん曰く、子どもにつけさせたかったら、まず、親自身が4つの力をつけることが必要。そのために、家庭でできることを大空小学校での出来事を取り上げながら、ていねいに伝えている。

 本書では「やり直し」という言葉がよく登場する。力をつけるためには失敗から学ぶことは多い。そのとき、反省ばかりして自分にダメ出しをするのではなく、やってしまった過去をどうチャンスに変えるかという自分のための「やり直し」を大人も子どももしている。

 家庭では親子の対話が欠かせない。経験豊富な大人とこれからたくさんの経験を積む子どもであることを理解した上で、向き合う。対等な人と人の関係にしていくことが大切だとも書かれている。

 自分で考え、"自律"した人間になってもらうために親ができるヒントがたくさん詰まっている。

 まずは、「なんで、言うことが聞けないの! 困った子ね」と思ってしまうところから変えなくてはならないが、それも本書を読めば自然と意識が変わるだろう。


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