親が注意するとき、子どもは声に出さずとも心の内で必死に反論しているかもしれない。中には「子どもが自信を失う言葉」もあるから注意が必要だ。
親 「うるさい!」
子 (ママのほうこそ、うるさいよ!)
親 「違うでしょ」
子 (何を言っても「違う」って言われるんだから、自信なくなっちゃうよ)
「言葉を変えれば、わが子は伸びる!」――。本書『決定版 ママ、言わないで! 子どもが自信を失う言葉66』(学研プラス)は「つい言ってしまった、こんな言葉、あんな言葉」に代わる「こんな言葉にチェンジ!」を提案する一冊。著者はあれこれ言ってしまう親の心境に理解を示した上で、そこから抜け出す言葉かけのコツを伝えている。子どもの自信、やる気、強い心がぐんぐん育つフォローの仕方がわかる。子どもに怒ってばかり、一生懸命になればなるほど空回り......と悩んでいる人は、本書を読めばずいぶん気が楽になるだろう。
著者の曽田照子さんは、千葉県出身。東洋大学文学部卒業。広告制作プロダクションでコピーライターを経験後、フリーライターとして独立。現在は娘3人の子育て経験を生かした書籍を執筆。著書に『子どもを伸ばすママの言葉がけ 言ってはいけないNGワード55』(メイツ出版)、『「お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本』(中経の文庫)など。
著者は子育てをしながら、広告や書籍の文章を書く仕事を20年以上続けてきた。「思うようにならない子育てと『言葉』をあつかう仕事とを両立する中で、『言葉を変えれば子育てが変わる』という事実」に気づいたという。親はみな、わが子に自信をつけてほしいと願っているだろう。しかし、思いとは裏腹に、つい白熱して「子どもが自信を失う言葉」をかけてしまうことも......。
「子どものことを真剣に考え、子育てに真っ正面から向きあおうとしている真面目なママやパパ」ほど「子どもが自信を失う言葉」をかけてしまうケースがよくあるという。そこでカギとなるのが言葉かけ、としている。
「子どもの自信は言葉で育てることができます。そして、子どもの自信を育てる言葉を使っていると、親の気持ちにも余裕が出てきて、子育てに自信が持てるようになります」
本書は専門家による育児書ではない。著者は自身の子育て経験や仕事を通して得た知識をもとに、悩める親に寄り添って書いている。子育ての先輩に相談に乗ってもらっている感覚で読める。
本書は、よくあるお悩みに沿って66のNGワードと「こんな言葉にチェンジ!」を紹介している。言葉かけのコツは「人格を攻撃しない」「ジャマもの扱いしない」「ダメ出しでつぶさない」「面目をつぶさない」「恐怖で支配しない」「グチ地獄に引きずり込まない」「ほめごろししない」こと。
1章 「自分は大切にされている」という実感が子どもの自信のもとになります。
2章 「ここにいていいんだ!」という安心が子どもの自信を育てます。
3章 「チャレンジしたい!」という意欲が子どもの自信をつくります。
4章 「自分はできる!」という達成感が子どもの自信を裏づけます。
5章 「見守られている」という信頼感が子どもの自信を広げます。
6章 「生まれてきて良かった!」という喜びが子どもの自信を輝かせます。
7章 「自分の人生を生きる!」という覚悟が子どもの自信を後押しします。
66のNGワードは身に覚えのあるものの連続で、自分の発言を切り取られたかのように感じる人もいるかもしれない。日ごろ自分が子どもにどんな言葉かけをしているのか、客観的かつ冷静に振り返るきっかけになる。
66のNGワードの注意度を5段階で表示している。ここでは注意度高め、かつとくに言ってしまいがちと思われるものを2つ紹介しよう。
まずは「ウソつき」。「うちの子は『今日は宿題ないよ!』(本当はあった)とか、ちょくちょくウソをつきます。悲しくて『ウソつき』と責めてしまいます」というお悩み。「責めるより『理由』に目を向けて」とアドバイスしている。
子どもは親からの追及を逃れるため、すぐばれるような言い訳でごまかそうとすることもある。しかし、親が「ウソつき」と決めつけることで「本物のウソつき」になってしまうという。そこで「間違えちゃった?」「どうしてそう言ったの?」にチェンジ。やんわり指摘するだけで「親にはウソは通用しない」と伝わるという。
「子どもがウソをつくようになるのは、大人に近くなって、ウソも含めた複雑な人間性ができあがってきた、ということです」
続いて「だから言ったじゃない!」。「あらかじめ親が注意しても、子どもって、失敗しますよね。『あれほど注意したのに』......と責めてしまいます」というお悩み。「失敗から学べることはいっぱいある」とアドバイスしている。
「だから言ったじゃない」と言われると「ママに言われた通りにすれば良かった」だけが残り、失敗しないためにどうしたらいいかを自分の頭で考えることができなくなるという。そこで「痛かったね」「ケガはなかった?」にチェンジ。だまって見守ったり、気持ちに寄り添ったりするだけでいいという。
「周囲がわざわざ責めなくても、失敗した事実から大人も子どもも『次はどうしたらいいか』考え、学ぶのです」
最後に一つ、とくに印象的だった箇所を引用したい。
「私たち親は自分の子どもを『子どもだから』とバカにしたり、軽く見たりしてしまいがち。......子どもを一人の人間として尊重するよう心がける。それだけで、子どもは『自分は大切にされている』という実感を持ち、自信の『もと』をつくることができるのです」」
親は子どもに対して何を言ってもいいと、無意識のうちに思いがちではないだろうか。しかし、それはとんだ思い違いであると気づかされる。「言われて嫌な言葉は、親も子も同じ」――。その言葉、自分が言われたら? と、言う前に一瞬立ち止まって考えられるようになりたいものだ。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?