我が家の子育てはこのままでOKなのかと、不安に感じているご家庭は多いだろう。たとえば、子どもがやっている習い事に意味はあるのか。子どもに一番向いていることをさせたいけど、それがなにかわからない。習い事をいくつも掛け持ちしているよその子を見ると、あせる......などなど。
我が家の子育ては、ここが良かった・悪かった。そうした答え合わせができるのは何年も先のこと。現時点ではなにが正解かわからない。だから、ネットや知人から得た情報の中から親が良さそうと思ったものを選び、期待と願いを込めて子どもに与える。そんなご家庭が大半ではないだろうか。
子育てに正解はない。情報があればあるほど、振り回される。結局、親は子どもになにをしたらいいの? とお困りの方に、本書『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(株式会社KADOKAWA)がオススメだ。
著者は、教育専門家であり、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介さん。「中学受験のプロ」として5000組の親子と面談してわかった「早期教育より大切で効果的なこと」について、過去に受けた相談事例、自身の子育て経験をまじえて書いている。
小川さんは1973年生まれ、京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍した後、中学受験専門のプロ個別指導塾SS-1を設立。子どもそれぞれの持ち味を生かして短期間の成績向上を実現する独自のノウハウを確立する。同時期に「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」の創設に参画し、情報発信を開始。
自らも「見守る子育て」を実践し、一人息子は電車の時刻表集めやアニメに熱中しながらも、中学受験で灘、開成、筑駒に合格したというから驚く。そこには、一体どんな親の関わり方があるのだろうか。
小川さんは経験上、「子どもの能力を伸ばすために重要なのは『9歳前後までの育ち方』」と確信しているという。本書は、幼児期から9歳前後までの子を持つ親が、子育てで心に留めておきたいことが書かれている。それは「ありのままの子どもを『認め』、『見守り』、『待つ』」こと。本書では、こうした子育てを総称して「見守る子育て」と呼ぶ。
頭のいい子の親には、「子どもを否定しない」「子どもに与えすぎない」「子どものことであせらない」という3つの特徴があるという。実際はその逆で、つい否定してしまう、与えすぎてしまう、あせってしまうものだが、一体どうしたらそんな子育てができるのか。
本書は「第1章 頭のいい子の親は子育てで何を重視するのか」「第2章 頭のいい子の親は『否定しない』」「第3章 頭のいい子の親は『与えすぎない』」「第4章 頭のいい子の親は『あせらない』」「第5章 パパ・ママのお悩みQ&A」の構成で、頭のいい子の親の考え方と行動のヒントを紹介している。
ここでは、特に多くの親が関心を持っていると思われる「習い事」について触れておこう。
親から見て「教育によさそうなもの」をあれこれ与えられている子どもが皆、成績優秀で学力の伸びが素晴らしいかというと意外とそうでもなく、現実はむしろ「伸び悩み、苦労している子が多い」という。たくさん与えられているのに伸び悩む子どもがいる一方で、それほど手をかけられているように見えないのに能力を開花させる子どもがいる。その理由は......
・体験が身につくときの子どもは、親から見れば「ボーッとしている状態」
・子どもの時間の中にフリータイムが多ければ多いほど、子どもは自由に考えを巡らせることができる
だから、習い事は「一点豪華主義」(一つでなくても、本人の気持ちが乗るものだけ)がいいのだという。以前BOOKウォッチで紹介した杉山奈津子さんの『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』(朝日新聞出版)に書かれていた「どれだけ手をかけたかと、子どもの才能を伸ばすことは、比例しません」と共通していると感じた。
本書は「頭のいい子」を育てるためのテクニックを習得するための本というより、親が子どもとの関わり方を見直すための本と言える。あれもこれもしない、頑張りすぎないことを勧めているが、唯一、親として頑張りたいことがあるという。それは「子どもを信じ切る」こと。
「本人なりに努力したけれど、......挫折があったとします。......しかしそれでも、信じて待つ。これが、ものを買い与えたり、さまざまな体験をさせたりすることよりも大切な、親の役割です」
あれもこれもしましょう、とプラスしていく育児法より、あれもこれもやめて、これだけは大切にしましょう、とマイナスしていく育児法の方が難しい。育児歴が長くなるにつれて、つい余計な関わり方をしてしまっていたことを反省し、子どもへの関わり方を軌道修正しようと思う。
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